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クレーム担当者の奮闘日記

飲食店版「振り込め詐欺」

本社の「キムラ」にだまされるな!

2009年3月12日

文=水野 孝彦(日経レストラン)
イラスト=蛭子 能収

このコラムでは、架空の外食企業のクレーム対応担当者の日常を通して、最善のクレーム対応を考えていきます。

これが詐欺の手口

「本社の『キムラ』ですが、田中(仮名)店長いますか?」と40代らしき男性から電話が入った。

「店長はまだ来ていませんけど……」とパートの久美子さん(仮名)。

「清掃業者さんから、代金が支払われていないっていう苦情が入ってね。田中君、これで2回目なんだよ。参ったな」と男性。

「……。店長に連絡しましょうか?」と久美子さん。

「いや、私から連絡を取るよ。田中君の携帯電話の番号を教えてくれる?」。

久美子さんが携帯電話の番号をすぐに調べ、「090-****-****」と答えた。

「ありがとう。ところで今、レジにお金いくら入ってる?」。

「5万円くらいだと思います」。

「分かった。では、田中君に電話してみるよ」。

一度、そこで電話が切れ、ほんの5分後、「キムラ」を名乗る男は再び電話を掛けてきた。

「田中君と連絡を取ったんだけど、今すぐ業者さんあてに代金を振り込むことができないそうなんだ。それで15分後に店の近くまで業者さんが来てくれるそうだから、お手数を掛けるけど、代金を払ってくれないかな。田中店長にも話しておいたから」。

「分かりました」と久美子さん。

「近くの○×交差点に作業服姿の業者さんが待っているはずだから、その人に5万2500円を払ってください。それと封筒には支払い代金と株式会社○○○○(実在する大手害虫駆除会社の名前)御中と書いておいてください」。

そう言って、電話が切れた。15分後、久美子さんが指定された場所に行くと、作業服姿の中年男性が待っていた。その男性に封筒を渡すと「来月も頑張ります」と一礼をして去っていった。

久美子さんがだまされたことに気が付いたのは、数時間後、田中店長が店に出勤して話をしてからのことだった。本社に「キムラ」という名前の社員などいないし、無論、清掃代金の未払いなどなかったのだ。

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