「日経レストランONLINE」は、「日経レストラン」の休刊に伴い、3月末日をもって更新を休止することになりました。長らくご支援を賜りました皆様に厚く御礼を申し上げます。

クレーム担当者の奮闘日記

詫び状を出せと言われたら

クレームへの対応はどこまですべきか

2009年4月9日

文=水野 孝彦(日経レストラン)
イラスト=蛭子 能収

このコラムでは、架空の外食企業のクレーム対応担当者の日常を通して、最善のクレーム対応を考えていきます。

○月×日 夕方
問題はどこまでやるか

「俺を殺す気か!」─。先日、料理にゴキブリが入っていたという中高年の男性客から、怒りの電話が入った。

その電話を受けたお客様相談室のスタッフは、謝罪の気持ちを伝えた上で、「店長がご自宅に伺い、お詫びと返金をさせていただきたい」と伝えた。

すると、「その場で代金は返金させ、料理も取り替えさせた」とこのお客は答え、「これは会社全体の問題だから、会社幹部の署名と社判付きの改善計画書を出せ」と、そのスタッフに迫った。気押されたスタッフは、それに応じた。

基本的に、クレームへのお詫びを書面で回答するのは避けるのが望ましいと考えているチェーンが多い。書面の提出を徹底的に拒否しろ、という意味ではない。ただ、お客は余程の不信感を店に感じない限り、書面を出せ、などとは言わない。そこまでこじれる前に、誠意ある対応で納得していただくべきだからだ。

また、怒るお客の前から立ち去りたい一心で、書面での詫び状を約束してしまう場合もある。無論、避けるべきだが、仮に店の非を一方的に認める文書の提出を無理強いされて約束してしまったとしても、ばん回は可能だ。事実と異なるのであれば、その約束を守る必要はない。

今回のケースでは、営業部長名のお詫びと害虫駆除に関する改善計画の報告書を郵送して、対応は終了した(また顧客対応とは別に、可能な限り早く、ゴキブリが料理に混入した事実を保健所にも伝えなければならない)。

クレーム客に要求されたことに、どこまで応じるかの判断は難しいが、できることとできないことを明確に示すことは大切だ。

例えば、「お前じゃ話にならん! 上司を出せ!」などと店長やお客様相談室長が言われた場合。原則として、店のスタッフのミスは店長が責任者であり、その上司を出す必要はない。本社であれば、お客様相談室の責任者が会社の代表となる。

ある外食チェーンのお客様相談室の責任者は、クレーム客から「上司を出せ!」と言われると、「自分が担当です。私でダメなら話す相手はいません」と相手に伝え、それで納得しなければ、対応を打ち切ってしまう。それで特に店に悪い噂が立ったといったトラブルは起きていないそうだ。

なお、「自宅まで謝りに来い」と言われ、深夜や早朝の時間帯を指定される場合もあるが、「夜22時から朝7時までは当社のルールでお伺いできません」といった社内ルールを伝えて、訪問可能な時間帯を指定してもらうようにしているチェーンが多い。

Next: クレーマーを撃退!

次のページへ
どうしてくれる!? 店長1万人のクレーム対応術

どうしてくれる!? 店長1万人のクレーム対応術

37のトラブルから学ぶクレーム対応術

外食大手23社が磨きあげたトラブル解決の決定版!
よくあるクレームへの対策から悪質なクレーマーの撃退まで、豊富な事例と解決策がこの1冊に。