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魚を巡るホントウの話

昔は肥料、今は高級なキチジ 近年はすり身にもなるホッケ

2010年3月30日

キンメダイ

キンメダイ

キンメダイは、キンメダイ目キンメダイ科に属する魚。マダイ(スズキ目タイ科)とは異なるものの、体型や色が似ているため“タイ”と名が付いたと思われる。特徴は金色に光る大きな眼。眼が大きいのは、届く光の少ない深海に生息しているためと考えられている。背ビレと腹ビレの第一軟条(一番前のヒレ筋)が長いものがあるが、これは幼魚の特徴であり、「糸引きキンメ」と呼ばれることもある。築地市場には静岡県、千葉県、高知県などから入荷し、ニュージーランドなどからも輸入されている。身が軟らかく、脂が多いわりにさっぱりした味なので、煮付けや鍋物にすることが多く、鮮度の良いものは刺身にもなる。

キチジ

キチジ

キンキ、キンキンと呼ばれることも多い。背ビレの棘状部に大きな黒い斑紋があり、この斑紋によって他の赤色の魚と見分けることができる。現在、市場では高級魚の一つとなっているが、戦前までは評価が低く、魚かすにして肥料に利用されることも多かった。戦後にその味が見直され、漁獲量が少ないこともあって珍重されるようになった。資源状態が良くないため、現在、人工孵化など資源保護のための研究がなされている。肉は白く、少し軟らかく、食用にされる魚の中では脂肪分がかなり多いほうである。

ホッケ

ホッケ類には2種類ある。日本で昔から食べられていたのは縞模様のないホッケ。もう一つは、ホッケより北方に生息するキタノホッケで、黒と黄色のはっきりした縞模様がある。

ホッケ

ホッケの漁獲の中心地である北海道では、成長に従って呼び名が変わる。魚体が小さく細いうちはロウソクボッケと呼ばれる。その後、1歳の頃、沿岸域へ移動して盛んにエサをとる。これが春ボッケだ。もっと大きく成長し大陸棚上に居ついて移動しなくなると根ボッケと呼ばれる。ロウソクボッケは小さく味も良くないが、春ボッケぐらいから美味しくなり、根ボッケになるとさらに脂が乗って旨みも増す。

ホッケは漁獲量が安定している魚の一つで、以前は開き干しなどに加工されるのが一般的だったが、近年はすり身にすることも多い。これは従来すり身にしていたスケトウダラの漁獲量や輸入量が減り、代わりにホッケが用いられるようになったためだ。

キタノホッケは、その縞模様からシマホッケ、トラボッケなどとも呼ばれる。日本近海での漁獲量は多くはなく、流通しているものはほとんどがベーリング海などで漁獲されたものだ。以前は、キタノホッケはホッケよりも味が落ちるといわれ価格も安かったが、近年は評価が高まり、価格差も小さくなってきた。

坂本 一男

水産学博士。水産物市場改善協会・おさかな普及センター資料館館長。魚のエキスパートを育てる日本おさかなマイスター協会の講師

文=芦部 洋子
※キチジ、ホッケの写真は、水産総合研究センター提供