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魚を巡るホントウの話

マダラは雄の方が高値 スケトウダラは漁獲量が大幅減

2010年4月6日

マダラ

マダラ

タラ科の魚の中で日本で馴染みが深いのは、マダラとスケトウダラ。白身でクセがなく、様々な料理に使える。高タンパクで低脂肪、低カロリーという特徴が健康志向にマッチして需要が高い。

マダラは日本では北海道周辺に多く、日本海側では島根県、太平洋側では茨城県辺りまで生息。夏は深場にいるが、冬季には浅場に移動して産卵する。マダラ漁はこの時期に行われる。

タラは漢字で「鱈」と書く。この字のいわれには諸説あるが、「身の色が雪のように白いため」という説が一般的だ。また、タラは大食漢でいろいろなエサをたくさん食べるため、「たらふく(鱈腹)」の語源となったといわれる。同様に「でたらめ(出鱈目)」の語源ともいわれるが、こちらは単なる当て字のようだ。

干物(干ダラ)は東北地方の正月料理に欠かせない食材。また棒ダラ(素干し)と海老芋を炊き合わせた「芋棒」は、京都の郷土料理として名高い。

マダラの卵巣は真子(まこ)と呼ばれ、スケトウダラの卵巣であるタラコより評価が低いが、白子と呼ばれる精巣は珍重される。このため、産卵前のマダラは雌よりも雄が高値となるが、体色や体形などの外見だけで雌雄を見分けることはほぼ不可能だ。

スケトウダラ

漁獲量が多く、世界的に重要な食用魚で、日本でも豊富に獲れたため加工も盛んに行われた。1960年代には北海道の水産試験場で冷凍すり身が製品化され、以来、カマボコ、チクワ、魚肉ソーセージなどに利用されてきた。冷凍すり身で作った“カニかま”は世界各国で人気。すり身は英語でも「surimi」で通用する。しかし1994年に37.9万tだった国内の漁獲量は2005年には19.4万tに減少。原材料としての価格は上昇している。

アンコウ

アンコウ

アンコウの仲間は多いが、日本周辺で獲れる食用となるアンコウは、北日本に多い「キアンコウ」と南日本に多い「アンコウ」である。築地市場に入荷するのはほとんどキアンコウだが、この2種はともにアンコウと呼ばれて区別せず流通している。下アゴに鉤(かぎ)を引っ掛けて吊るしたまま解体する「吊るし切り」が有名だ。しかし、この方法は手間も時間もかかるため、築地市場では通常はまな板の上に載せて出刃包丁でさばくことが多く、これを「叩く」と呼ぶ。

坂本 一男

水産学博士。水産物市場改善協会・おさかな普及センター資料館館長。魚のエキスパートを育てる日本おさかなマイスター協会の講師

文=芦部 洋子
※マダラ、キアンコウの写真は、水産総合研究センター提供