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魚を巡るホントウの話

鰹が美味しいのは、春より秋 シロウオとシラウオの違いは?

春が旬の魚

2010年4月19日

カツオ

江戸時代には、初物を食べると長生きするとされ、「女房を質に入れてでも初鰹を食べたい」と言われるほど愛された鰹。この魚は世界中の温帯から熱帯海域に分布し、海の表層を回遊している。泳ぐ速度は通常は、時速3km程度だが、最速だと時速36kmにもなる。

熱帯水域では1年中産卵し、亜熱帯では春から初秋が産卵期。日本近海に北上してくるのは、1歳弱のもの。体長が35~39cm程度の若い魚が多い。

重要な北上ルートは伊豆諸島沿いと伊豆諸島東岸ルート。4~5月頃に伊豆諸島近海を通った群れは、6月頃に主要な漁場である常磐、三陸沖に北上。9月頃に北緯41度付近に達した後、今度は南下する。

春に北上する群れを「上り鰹」、秋に南下する群れを「戻り鰹」または「下り鰹」と呼ぶ。エサを求めて北上する上り鰹よりも、エサを食べて成長した戻り鰹のほうが、魚体が大きく脂がのっている。

体の下部に暗褐色の縦縞が7~8本あるが、これは生きているときにははっきりせず、死んだ後に明瞭になる。この縞がくっきりし、体が締まって張りのあるものが新鮮。切り身の場合は、身がピンクがかったきれいな赤色で、血合いの色が鮮やかなものが新鮮だ。さばいてから時間が経つと、血合いは変色して黒っぽくなる。

また、切り口が玉虫色(虹色)に光るものは鮮度が落ちているという通説があるが、これは間違い。よく切れる包丁で切った場合、断面に光が反射して玉虫色に見えるのである。

シロウオとシラウオ

「シロウオとシラウオは違う魚なんですか?」。毎年3月になると春の風物詩のように、この質問がおさかな普及センター資料館に寄せられるが、シロウオはスズキ目ハゼ科、シラウオはサケ目シラウオ科に属し、両者の“血縁”はかなり遠い。

シロウオのほうは踊り食いが有名。海の沿岸で群れを作り、春になると河川の下流域で産卵する。

一方、シラウオは伝統的な江戸前寿司の種の一つで、かつては煮たり蒸したりもしていたようだが、最近は生で食べられることが多い。海水と淡水が混じり合う河口域に生息。どちらも透明で細長い外見をしている上、名前も間違いやすいので、混同が起こるものと思われる。

両者を比べてみると、シロウオの頭は丸みが帯び、尾ビレは切れ込みが少ない。シラウオは頭の先がとがっており、尾ビレは深く切れ込んでいるので見分けがつく。

どっちが踊り食いのシロウオ?

答え:Bがシロウオ(頭が丸みを帯びていて、尾ビレの端のラインはまっすぐ。ちなみに、Aはシラウオで、頭の先端が尖っていて、尾ビレの端のラインがV字形)

坂本 一男

水産学博士。水産物市場改善協会・おさかな普及センター資料館館長。魚のエキスパートを育てる日本おさかなマイスター協会の講師

文=芦部 洋子
※ 鰹、シラウオ、シロウオの写真は、水産総合研究センター提供