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魚を巡るホントウの話

国産の天然物は ほとんど入手不可能なウナギ(前編)

2010年5月31日

ウナギ

ウナギ

夏の土用の丑の日にウナギを食べる習慣は、江戸時代から一般的になったという。現代の日本でもウナギ人気は高く、ここ数年は年間約10万tが消費されている。国産の天然ウナギ漁獲量は2007年で288tと非常に少ないので、一般に出回ることはほとんどない。天然ウナギの成長には数年以上かかり、秋から冬に脂がのってくる。胸が黄色っぽいので“ムナキ”と呼ばれ、それがウナギの語源ともいわれる。

国産の養殖物の漁獲量は年間約2万tで、鹿児島県、愛知県、宮崎県などで盛んだ。シラスウナギと呼ばれる稚魚を半年〜1年半で出荷できるように魚粉を主原料とした配合飼料を与えて育てるので、一年中脂がよくのっており、体色は黒または灰色をしている。

国産だけでは供給が追いつかないので、中国、台湾から養殖物を輸入。中国、台湾産の多くは現地で蒲焼き、白焼きに加工した上、冷凍して輸入される。中国産はヨーロッパウナギが多い。魚体を丸ごと見ても国産ウナギとの見分けは難しく、ましてや加工品を外見や味で区別することはほぼ不可能だ。

(後編はこちら

坂本 一男

水産学博士。水産物市場改善協会・おさかな普及センター資料館館長。魚のエキスパートを育てる日本おさかなマイスター協会の講師

文=芦部 洋子