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魚を巡るホントウの話

「関アジ」が美味しさや 鮮度を保てるワケ(前編)

2010年6月14日

マアジ 〜同じ魚種でも形や呼び名は色々〜

マアジ

マアジには春に北上、秋に南下、というように季節的に回遊する魚群と、内湾や瀬に定着する“瀬付き”と呼ばれる魚群がいる。回遊するマアジは体色が黒みがかっているので「クロアジ」、瀬付きのほうは黄色がかっているために「キアジ」と呼ばれる。キアジは漁獲量が非常に少ないが、瀬に定着して良質で豊富なエサを食べるために、クロアジに比べて脂がのって美味しいと言われ、高値で取引されてきた。近年はさらに数が少なくなり、希少価値が高まっている。

ブランド魚として一躍有名になった「関アジ」も佐賀関に生育する瀬付きの魚群だ。大分県漁協佐賀関支店では、関アジの品質を保つために、漁業関係者から流通業者まで一丸となった取り組みを行っている。

網や他の魚と擦れないように一本釣りで上げた魚は船中の生簀(いけす)に放ち、生きたまま漁港に持ち帰る。値決めには魚の重さが必要だが、水から揚げると魚が暴れて魚体が擦れたり、身が割れる恐れがあるため、泳ぐ姿を見て重量を予測して値を決める。そして、魚が落ち着いたら、1匹ずつ丁寧に活け締めするという。

(後編はこちら

坂本 一男

水産学博士。水産物市場改善協会・おさかな普及センター資料館館長。魚のエキスパートを育てる日本おさかなマイスター協会の講師

文=芦部 洋子