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食の未来は大丈夫か?

「食料自給率」ではなく「食料自給力」を重視すべきだ

2008年3月19日

キーパーソン・インタビュー/横川 竟
聞き手=加藤秀雄

横川 竟(よこかわ・きわむ)
株式会社すかいらーく代表取締役社長兼最高経営責任者

1937年長野県生まれ。58年長野県諏訪中学校卒業、62年ことぶき食品(すかいらーくの前身)設立、取締役就任。80年ジョナサン代表取締役社長、97年すかいらーく代表取締役会長、2003年最高顧問に退き、同年日本フードサービス協会会長に就任。06年すかいらーく代表取締役会長兼最高経営責任者として、経営の一線に復帰。07年代表取締役社長兼最高経営責任者。外食業界屈指の論客として知られる。

● 多くの新興国の食生活レベルが向上してきている中で、日本がいろいろな場面で食料を「買い負ける」ということが起きています。また、国内の食料自給率が39%(熱量換算)に低下している中、本当に日本の食料確保は大丈夫かという議論が出てきています。この点についてのお考えをお聞かせください。

横川 竟氏

横川:2008年から、日本では食品が一斉に値上がりしてますね。値上げラッシュです。これは、いい、悪いという問題ではなく、これまで13年も15年も値上げせずにやってきたほうが、歴史的にないことで、そのほうがおかしいのです。これは中国や東南アジアの国々の人件費が安く、製造コストが抑えられただけであって、モノそのものが安くなっていたわけではないのです。日本での加工賃が高くなった分、製造拠点を中国に移し、今は中国も上がってきたということでベトナムに移している。これから日本の食品メーカーは、みなベトナムに行きますよ。台湾からタイ、中国へと移ってきたものがベトナムに行き、これが将来、他の地域へと移るでしょう。

● その通りですね。

横川:もう一つ今危ないのは、世界の穀物の在庫が年々減ってきていることです。中国やインドなどの食生活水準が上がってきていることと、1日20万人増えている世界の人口増の結果です。そうなると、日本の減反政策は正しいのかということになりますね。早ければ5年後には、増産に転じるのではないでしょうか。コストを安く作ることは考えなければいけませんが。また、5年後には世界的な食料危機が来るとも言われています。米国中西部で深刻な水不足が起き、穀物生産量が減少する可能性があるという話もあります。そうなると海外に食料を依存している日本は危なくなります。情報を集めていけば、いろいろな問題があるのに、政府も農林水産省も、何も手を打っていない。

● そうですかね。彼らが分からないはずがないと思いますが。

横川:知りません(笑い)。ただ、我々は食べ物屋ですからいろいろ情報を集めていますが、彼らのところには、正しい情報が集まっていないのではと思います。

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