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食の未来は大丈夫か?

消費者が国産志向を強めている今が日本の農業にとってのチャンスだ

2008年5月12日

キーパーソン・インタビュー/武内 智
聞き手=加藤秀雄

武内 智(たけうち・さとし)
農業生産法人ワタミファーム代表取締役

1952年北海道生まれ、77年千葉工業大学卒業後、すかいらーく入社。83年札幌にて水産卸会社(北鮪水産)に入社、84年札幌にてレストラン経営を開始。88年聘珍樓に和食の新規事業開発室長として入社、91年聘珍樓の子会社で、「和食・濱町」と居酒屋「北海道」を展開する平成フードサービス取締役副社長就任。99年NPO法人北海道有機認証協会理事就任、2001年ワタミフードサービス入社商品本部長就任、02年ワタミファーム代表取締役就任、03年農業生産法人ワタミファーム代表取締役。

● ワタミファームは、外食のワタミのグループ会社として、有機農法で生産した野菜から食肉、乳製品などと生産品目を拡大してきています。武内さんは、ワタミグループ入りする以前から一貫して農業に関わっていらっしゃいますが、日本の農業について、どう考えていらっしゃいますか。

武内 智氏

武内 正直、ビジネスとしては厳しいですね。なかなか儲からない。ここを解決しないと、日本の農業が再生するのは難しいでしょう。

● 親会社である居酒屋チェーンのワタミ以外の供給は増えていないのですか。

武内 いくつかの中小レストランチェーンとはお付き合いが出来始めています。うちとしては、ワタミがいやでなければいくらでもお売りしますよというスタンスなのですが(笑い)。ただ、ワタミの店長クラスと話をしているとJAS(日本農林規格)の有機マークより、ワタミファームのシールの方がお客様に信頼してもらえるようになってきているということです。別に有機JASマークに問題があるというのではなく、「自社農場で作っているのだな」といった安心感ですね。うちとしても天候によってはいつでも有機野菜を供給できるわけではありませんし、有機JASマークは基準が厳しいため、取り扱いを慎重にしています。厳密に言ったら、レタスでも「これは有機栽培です」というシールを貼って、一つひとつを包装しなければいけませんからね。これをやると手間賃、包装資材費などを含め1個20円くらいにつく。コスト的に無理ですね。

● 畜産を始めたのはなぜですか。

武内 この2年、いろいろなことに手を広げました。畜産もその一つです。短角和牛から始めて、現在はアンガス種、和牛、ホルスタインと増えてきて、北海道の弟子屈で1200頭肥育しています。飼料、特に海外では有機飼料の引き合いが強くて値上がりもしていますので、自分でデントコーン(飼料用トウモロコシ)の栽培も20haやっています。チーズやアイスクリームといった乳製品でも有機の認証を取りました。

 一ついいことは農業をやりたいという若い人が増えてきたことですね。ワタミに就職した人が、毎年10人くらい手を挙げるのですが、うちで採用できるのは半分がいいところです。

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