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食の未来は大丈夫か?

消費者が国産志向を強めている今が日本の農業にとってのチャンスだ

2008年5月20日

キーパーソン・インタビュー/武内 智
聞き手=加藤秀雄

武内 智(たけうち・さとし)
農業生産法人ワタミファーム代表取締役

1952年北海道生まれ、77年千葉工業大学卒業後、すかいらーく入社。83年札幌にて水産卸会社(北鮪水産)に入社、84年札幌にてレストラン経営を開始。88年聘珍樓に和食の新規事業開発室長として入社、91年聘珍樓の子会社で、「和食・濱町」と居酒屋「北海道」を展開する平成フードサービス取締役副社長就任。99年NPO法人北海道有機認証協会理事就任、2001年ワタミフードサービス入社商品本部長就任、02年ワタミファーム代表取締役就任、03年農業生産法人ワタミファーム代表取締役。

● 規格外品の活用は如何ですか。

武内 智氏

武内 ワタミ以外に業務用、小売り向け、加工用と幅広い販路がありますので、小さいものから大きいものまで、かなり柔軟に出荷することが出来ます。外食などでは、小さめのトマトよりも、少し大きめのほうが使いやすいし、ゴミも出ない。出荷するほうも、そのほうが資材も少なくて済むし手間もかからない。規格というのは元々、流通関係の人たちが作ってきた「市場規格」なのですね。ただ、小売り関係者も、モノが潤沢にあるときには「規格、規格」といいますが、ないときには「どんな大きさでもいいから送ってくれ」ですからね。

● 規格外は廃棄などといっていたら、ただでさえ生産性の低い農業では本当に儲からなくなりますからね。

武内 今うちは、栽培特許を申請しているものがあるのですが、葉1枚から苗を作る技術です。野菜はストレスをかければかけるほど強くなりますから、そうやって育てると非常に根が強くなって、収量も増えるしおいしくなります。トマトの収量は1.5倍になります。ブロッコリーは、普通1株に1個ですが、これでやると3個くらい出来る。有機ですから虫にやられることがありますが、「3個あれば1個くらいは生き残るだろう」と(笑い)。リスクが高い分、色々考えます。開発はうちでやるのですが、実際にやってくれるのは技術のある農家の人です。こちらの言っていることをよく理解し、現場に適応させることが本当に早いですよ。

● 私が本当に美味しい野菜だなと思ったのは、中嶋農法で作った野菜でした。

武内 中嶋常允(とどむ)先生の農法は、土壌中のミネラル分を測定し、不足しているものを補うという考え方で、基本的には私どもと々考え方ですね。それを無機物で補うのか、有機質なのかという違いで。

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