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食の未来は大丈夫か?

日本の専有海面の広さは世界6位、漁民保護から漁業振興へ転換を

2008年6月20日

キーパーソン・インタビュー/五十嵐 勇二
聞き手=加藤 秀雄

五十嵐 勇二(いがらし・ゆうじ)
マルハニチロホールディングス代表取締役社長

1942年神奈川県出身、65年東京大学法学部卒業、同年日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)入行、93年同行取締役、96年同行常務取締役。2000年マルハ代表取締役専務就任、02年同社代表取締役社長就任。07年マルハフループ本社とニチロの経営統合に伴い、マルハニチロホールディングス代表取締役社長就任。

● 農業のほうでは「農政批判」がかなり聞こえてきていますが、漁業のほうでも「魚政批判」というものがあるのでしょうか。

五十嵐 勇二氏

五十嵐 それはあります。前に触れた提言などもそうですね。農林水産省の事務次官だった人が委員長を務めた委員会の提言ですから、農水省の中で大騒ぎになりました。要は、漁業を振興するのではなく、漁民保護だけをしてきたのではないかと。大手企業が参入すると、零細な漁民を席巻してしまうからだめだとか。

● 農業とまったく同じ論理があったのですね。

五十嵐 まったく同じです。予算の大半が護岸工事に行ってしまうとか。漁船が2、3隻しか泊まらない港が、実にきれいに整備されているわけですよ。

● 農業予算の多くが、農業に対してでなく、農業土木に回っているのと同じですね。

五十嵐 まさにその通りで、漁業土木、港湾土木です。農業では、耕地面積を日本と米国で比べたら、日本は数十分の1、もっと少ないかもしれませんが、海の広さというか、日本が専有する海面の広さは世界で6番目、体積では4番目なのですよ。農業でいうところの耕地面積という考え方をすれば、日本の漁業は非常に恵まれた条件があるわけです。

● そんなに広いのですか。体積というのは、「海面の広さ」掛ける「深さ」ですね。

五十嵐 そうです。それだけ日本の漁業というのは資源というか、可能性を持っている。お金をかける価値があるのに、本当の意味での漁業の振興に力を入れて来なかったわけです。

● そうだったのですね。ちなみに、海面の専有面積が広い国というのは他にどんなところがあるのでしょうか。

五十嵐 ロシア、米国、カナダ、オーストラリア、中国といったところでしょうか。中国も意外に海岸線が長いですから。

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