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食の未来は大丈夫か?

食料不足は現実化するか?

2008年7月1日

文=田中 栄、馬渡 晃

各国で始まった「穀物ナショナリズム」

穀物の需給逼迫を受けて、各国では輸出規制が相次いでいる。インドでは「インフレ抑制」を理由に、コメ、小麦、乳製品、タマネギの輸出禁止を実施している。当初2007年2月から1年間としていた小麦の禁輸措置は無期限へと延長した。ロシアは新たに大麦と小麦に「輸出税」を導入、小麦については全面的な輸出禁止を検討しているとのことである。ウクライナやセルビアは、輸出割り当て枠を設定、アルゼンチンはトウモロコシや小麦などの輸出を規制している。

特に日本にとって食料輸入で世界第2位である中国が方針を一変させたことに注目すべきである。中国は2007年12月に穀物の輸出優遇制度を廃止し、さらに2008年1月からは小麦、トウモロコシ、コメ、大豆など穀物と穀物製品に輸出関税をかけた。「輸出を奨励して外貨獲得を最優先する」という従来の方針を180度転換したことになる。このように中国までもが輸出を規制し始めたという事実は、食料は「自国内消費が最優先」という原則を改めて浮き彫りにした。

2007年から「穀物ナショナリズム」と言うべき農作物の囲い込みが始まり、食糧安全保障を巡る環境は一変した。主要穀物は今や「外貨を稼ぐための輸出商品」ではなく、自国の安全保障と外交パワーを高める「戦略物質」へと変わりつつあるのだ。最近は安全性に対する懸念から中国産を避ける傾向が強まっている。だが当たり前のことであるが、中国は日本に食料を輸出する「義務」など無いのだ。中国との関係がこじれれば自分の国が飢えることに気付かないまま、日本は無謀なケンカを売っているようにも映る。

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