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食の未来は大丈夫か?

種子開発は対暑性、耐乾性が重要に

2008年7月10日

キーパーソン・インタビュー/坂田 宏
聞き手=加藤 秀雄

坂田 宏(さかた・ひろし)
サカタのタネ取締役社長

1952年神奈川県生まれ。74年慶應義塾大学経済学部卒業、同年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行、81年坂田種苗(現サカタのタネ)入社、90年サカタシード・ヨーロッパ(現:ヨーロピアン・サカタ・ホールディング)総支配人、98年サカタのタネ取締役社長室長、2005年常務取締役、2007年6月社長就任。創業家の3代目にあたる。

● 御社は、かなり早い時期から海外に研究開発拠点を展開するなど、種苗メーカーとして国際戦略を頭においた事業を進められてきました。その狙いはどこにあったのでしょうか。

坂田 宏氏

坂田 我が社は大正2年、苗木の輸出からスタートしたのですね。その後、種子に特化していきました。最初が花種子で、一番のヒット作が昭和の初めにできた、完全な八重咲きのオールダブルのペチュニアでした。その後、戦後になって野菜の方にも進出し、今日に至っているのですが、創業当初から海外、輸出というのは頭にあったのですね。戦前も、一度は米国のシカゴや中国の上海に支店を出したりしていました。シカゴは関東大震災で横浜の本社が大打撃を受けたために閉め、上海は戦争で閉めざるを得なくなったのですが、このときに海外で「サカタ」の知名度が上がりました。戦後になって、従来の花に加え、野菜でも海外に出ようという時に、海外に拠点がなくてはいけないということで、1977年に米国カリフォルニア州に進出、85年には同サリナスに研究農場を開きました。それから約30年で、海外拠点は17カ国、34拠点にまで拡大してきました。

● それは、かなりのスピードですね。

坂田 特に野菜の場合は、現地の気候風土や文化、嗜好が違いますので、その土地に合ったものを開発していかなければいけない。そのため販売と開発の拠点も各地に持つ必要があるわけです。花の場合も海外を含め研究開発はしているのですが、世界的に野菜ほど嗜好が異なるわけではないので、うちの場合は緯度的なことを考えて、日本と、低緯度のコスタリカ、高緯度のデンマークと3箇所で研究開発をしています。

● 先ほどの海外拠点のうち、営業拠点と研究開発拠点というのは、どのくらいの比率になっているのですか。

坂田 研究開発拠点は国内に6カ所、海外に10カ所あります。営業拠点という意味では、先ほどの17カ国34拠点は全て営業機能を持っていると考えていいと思います。採種だけやっているところを含めると、海外拠点は19カ国になります。

● 海外の研究開発拠点のうち、コスタリカとデンマークが花で、残り8カ所が野菜ですか。コスタリカとデンマークでは、野菜はやっていらっしゃらない。

坂田 やっておりません。

● 研究開発拠点では、国内よりも海外の方が多いのですね。

坂田 それだけ野菜は、世界で気候風土や文化、嗜好が違うということですね。

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