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食の未来は大丈夫か?

「食」は21世紀の“超”成長ビジネス

2008年8月4日

文=田中 栄、馬渡 晃

「食」の需要は「人口爆発」以上のペースで増える

「食」ビジネスに対して、依然として大多数の人々はレガシー(古臭い)なイメージを抱いているかもしれない。だが「食」はほぼ間違いなく、21世紀で最も成長するビジネスのひとつになるだろう。

「食の争奪戦」は既に「現実」である。世界人口は爆発的な増加が続いており、これは食料需要を確実に押し上げる要因になっている。もうひとつ注目すべきは、食生活の質的な変化である。途上国でも経済発展と共に肉類の消費が増える。例えば牛の肉1kgを作るためには、8〜10kgの飼料用穀物が必要とされる。世界の穀物の約3割は、牛や豚、鶏などの飼料用として消費されている。つまり人口が増加するペース以上に、穀物の消費量は増えていくということだ。特に中国は経済成長によって、近年肉の消費量が急増しており、これが世界全体の穀物需要を押し上げる大きな要因になっている。

需要の爆発的増加――自動車と人間が限られた農地を奪い合う

食料需給がただでさえ逼迫する中、「バイオエタノール」という巨大需要が突然現れた。2007年1月、ブッシュ大統領が一般教書演説で「今後5年間でバイオエタノールの消費量を7倍に増やす」という方針を打ち出したのがきっかけだ。この瞬間から自動車と人間が限られた農地を奪い合う時代が始まったのである。

米国は大量の農作物を輸出できる唯一の国である。農作物の生産は一朝一夕に増やすことはできない。世界市場で流通する食料は全体のわずか10%程度に過ぎない。それを「世界最大の非公開会社」と呼ばれるカーギルを始め、有力な穀物メジャーが支配している。その多くは米国企業である。バイオエタノールの登場で、農作物は石油に準ずる「戦略物質」となった。これによって米国は産油国のような影響力を手にしたのである。

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