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クレーム・トラブル

「食中毒になった」というクレームが届いたらどうする?

2005年11月17日

アドバイス:隠しだては論外。保健所に依頼して綿密な調査を行う

「店で食べた料理が原因で食中毒になった」とクレームがあった場合、「食中毒を起こすわけがない」と言ってお客を怒らせたり、反対に「お客に黙っていてもらう方法はないか」と、うやむやにすませようとしがちだ。

しかし、お客の症状と発病日時、食べた料理とその日時を尋ね、病院や保健所へ連絡し、お客に診察を受けてもらうことが肝要だ。本当に食中毒なのかや、自店の責任の有無は、医師や保健所が判断すること。その旨もお客に説明し、医師の受診を勧める。診察には同行し、費用は店が負担して誠意を示す。

診断結果が出るまでの間(早くて1日、通常2~3日)に、1.食材の状態、2.同じ食材を仕入れた他店で同様の事故が起きていないか、3.別のお客からもクレームがあったか、を調べる。

結果通知は、必ず経営者自らが受け、お客の自宅まで出向いて報告する。

食中毒菌が発見されなかった場合でも、「当店には責任がありませんでした」といったあからさまな態度は謹むべきだ。というのも、食品中の物質が原因で、発疹、嘔吐、下痢といった食中毒同様の症状を発現する人も増えており、店側に100%責任がないとは言い切れないからだ。

「先日のお客様の検査の結果、食中毒の原因菌は発見されませんでした。健康を回復されまして、ぜひ店にお越しください。お待ち申し上げます」と、お見舞いの気持ちを表すことが大切だ。

食中毒菌が発見された場合には、店を休業し、二次感染防止の観点からも迅速に事故調査を保健所に依頼し、店の過失の有無を調査する。お客には見舞いの意を表し「ただいま事故の調査を急いでおります」と伝える。

事故調査は保健所の指示に従い、次の処置をする。1.保存してある食材をすぐに提出できる状態にする、2.調理器具は、洗ったりせず、そのままの状態にしておく、3.仕入れ業者の名簿とメニュー表、献立表を用意する、4.レシピ(仕込み時間や作り置き時間も含めて)を用意する、5.全従業員の健康診断を実施する。

調査の結果、店に過失がある場合は、お客と示談交渉に入る。店舗賠償責任保険などに加入していれば、保険会社に示談の相談をする。店に過失がなければ、「綿密な検査と調査をさせていただきましたが、食中毒の原因となる薗が発見されませんでした」とお客に報告しよう。

食中毒を起こすと、営業再開しても売り上げの減少は避けられない。しかし、営業停止期間中の店の姿勢によっては、復活が早まることもある。ある店は、食中毒菌が発見されたことや、その原因、今後店ではどんな対策を取るかを店頭に張り紙をし、お客にすべて伝えた。下手に事実を隠すのではなく、反省して、誠意を尽くすことこそ、お客が求めていることなのだ。

自店の食材ではなく、他の原因で、お客から食中毒の疑いをかけられた場合は、なぜ自分の店が疑われたのかを考えるべきだ。お客の目には、店内や食材が不衛生に映っているのかもしれない。中身だけでなく、見た目にも衛生的な店を目指そう。

食中毒を出さないためには、普段からの衛生管理は欠かせない。「付けない」「増やさない」「殺菌する」が基本だ。菌を付けないために、手洗いを小まめに行うのは当然。食材に付いた菌を増やさないためには、火を通した後、すぐに提供しない商品は、早く冷まして、冷蔵庫で保存する。肉や卵に付いた菌を加熱殺菌することも忘れずにやりたい。

(日経レストラン編集部)