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クレーム・トラブル

車の来店客に酒を出したら犯罪?

ほう助罪が適用され、最悪、書類送検も

2006年4月10日

愛知県内で1人の男性が酒気帯び状態で車を運転し、死亡事故を起こした。その男性が逮捕されたのはもちろん、この事件ではもう1人、別の人物も罪に問われた。男性が酒を飲んだ飲食店の店主だ。「お客が運転するのを知りながら、酒類を提供したのは道路交通法違反(酒気帯び運転ほう助)に当たる」と、書類送検したのだ。

お客が自動車事故を起こさなくても、飲酒運転をするだけで、ほう助は成立する。道交法では、酒気帯び運転の場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金、酒酔い運転だと3年以下の懲役または50万円以下の罰金となる。お客が酒に弱いことを知りながら酒類を提供したために、お客が重犯罪を犯してしまったような場合は、刑法の従犯(ほう助と同意)に問われることもある。

まずは車で来店したお客が酒類を飲むのも飲まないのも、お客の自己責任とするのは大きな間違いだと認識しよう。ただし、罪に問われるのは、車で来店したことを店主が知っている場合に限られる。「警察の事情聴取では、知らなかったと証言すればいい」と、よからぬ考えを持つ人もいるかもしれない。だが、飲食店主が否定しても、客観的事実があれば、ほう助罪となる。

例えば、近くに公共交通機関が無いような場合だ。電車やバスはおろか、タクシーもほとんど走っていないような場所にある店は、近所の住民でもない限り、お客は自ら運転して来るしかない。こうした立地条件は、ほう助を立証する材料として使われる。また、いつも車で来ている常連客の場合にも、「店主が知らないはずがない」と追及されることは避けられない。

2002年6月道交法改正で罰則が厳しくなってからは、お客の意識も変わってきたが、店側も「関係ない」では許されない。2005年8月には、15歳の少年が無免許・飲酒運転し、4人を死傷させた事故が神奈川県で発生。少年が事故直前まで居酒屋で飲酒していたことを重く見た神奈川県警が道路交通法より罰則が重い風営法違反(6カ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金)で、居酒屋の店員とその経営会社を書類送検する例も出た。車のお客には絶対酒類を出してはいけない。

(日経レストラン編集部)