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クレーム・トラブル

お客のケガ。過失無くても見舞金必要?

事故の状況を検証し、お客との交渉に臨むべき

2006年6月12日

「ほろ酔いのお客が、トイレに立った際、卓の端に引っかかって転倒。眼鏡が割れ、顔に軽いけがをした。店に過失はないが、店内で起きたことだからと、治療費相当の見舞金を包んだ。自分の判断は正しかったのか」──。ある居酒屋の経営者は、今も時々考えるという。

飲食店内の事故には、従業員がコーヒーを客席に運ぼうとして、お客にこぼして服を汚してしまう、階段でお客が転ぶなど、様々なものがある。店の責任が100%問われる必要のないケースの方が多いにもかかわらず、「店の信用」や「客づくり」のため、現状は見舞金を支払うことがほとんどのようだ。

しかし、これは比較的小額の補償の場合。数百万円を超えるような多額の補償が必要で、しかも事故責任の一部がお客の側にある可能性のある時は、「お客様はいつでも正しい」とは言っていられない。例えば、「店の中で卓の端に引っかかって転んだ」場合、フロアの状態に問題がなければ、全額補償に疑問を感じるのは当然だ。

そんな際、損害保険に入っていると、お客への補償の“被害”を最小限にできる。ある大手損害保険会社が販売する「店舗賠償責任保険」は、店内の様々な事故に対して一定額までを補償するものだ。「店内の棚にあったワインボトルがお客の頭に落ち、重傷を負わせた」「従業員が誤ってお客に料理をかけ、大やけどを負わせた」などのケースで、お客側にも過失があった場合は、その分が過失相殺の形で補償額は削られる。

ただ、現実には大手チェーンを除き、保険に加入している飲食店は多くはない。「事故自体が起きる確率は低いし、そんなに大きな事故が起きるとは考えられない」との判断からだ。もし事故になれば「非が全面的に店にあるなら誠意をもってお詫びし、補償する。お客にも非がある場合は、話し合いで決める」というのが一般的。

多額の補償は交渉次第というわけだ。あるコンサルタントは、「事故が起きても、店長やフロア責任者はその場ですぐに全額補償するとは言わないこと。『後日、連絡します』と話し、事故の状況を詳細に検討したうえで、お客との交渉に臨むべき」とアドバイスする。

(日経レストラン編集部)