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クレーム・トラブル

お客の服を汚してしまった!

最初の謝罪と応急処置が肝心

2006年7月20日

店側の過失でお客の衣服や持ち物を汚してしまった場合、まず、当事者の従業員だけでなく、経営者や店長など、その時店内にいる最も高い職位の責任者がすぐに出て、丁重にお詫びすること。ここで重要なのは、「理性」の前に「心」があるかどうかだ。いきなり「クリーニング代は払います」と言うと、お客は怒りのやり場を失い、余計に気分を害する。

まずは、汚した洋服に対する思い入れなど、お客の「思い」にじっくりと耳を傾け、それを理解する誠意が必要だ。現場に慣れた店長ほど、お客の言い分を聞く前に、事故の「処理」に走ってしまいがちなので気を付けたい。謝罪のタイミングを誤ったり、不十分だと、お客は二度と来店してくれない。逆に良い対応ができれば、むしろ店に対する信頼を増すことになる。最初の対応の善し悪しこそが重要だ。

衣服に付いたシミは、時間がたつほど落ちにくくなる。責任者が謝罪している間に、ほかの従業員は、衣服にシミを残さないための処置をすること。もちろん、店側に問題がなかった場合も、こうした素早い対応は喜ばれる。

シミに対する応急処置には、食品の種類によって2通りある。まず、サラダ油やバターなど、油でできた汚れは、布やティッシュペーパーで押さえ、吸い取るようにする。汚れがひどければ、水で薄めた中性洗剤を使うとよい。一方、醤油、ウスターソース、コーヒー、果汁、ケチャップなどの水性の汚れは、汚れた生地に水を含ませ、下から乾いた布を当て、その汚れを移し取るようにする。

どちらの場合も、叩くように作業をするのが基本。横方向にこすると、汚れが取れないだけでなく、汚れの範囲を広げるだけだ。

これらはあくまでも応急処置。お客には、なるべく早くクリーニングに出すように依頼するか、一度預かってクリーニングに出す。この時、できた汚れが何によるものかを明らかにしておくことが大切だ。汚れの種類によって、シミ抜きに使う洗剤は全く違うため、シミの原因となったものは、可能な限り詳しくクリーニング店に伝えると、より確実にシミを取ることができる。

お客が自分でクリーニング店に持ち込む場合は、汚れの原因となった食品の材料を書き出したメモを渡し、クリーニングに出す際に添えるようにアドバイスすると良いサービスになる。クリーニング代は概算であらかじめ渡しておいても、事後に実費を支払ってもよい。

しかし、お客がその後億劫になってクリーニングに出さず、店に対する不満だけが残るという、困った状況も起こり得る。そこで、お客の連絡先を聞いておき、日中のことならその夜に、夜間のことなら翌日に電話を入れ、再度お詫びし、「クリーニングには出されましたか」と、フォローすると有効だ。

こうしたトラブルでは、店側の過失かどうか、判断がつきにくい場合がある。例えば、ワインボトルなど、背の高い容器をテーブルに置いた際、「倒れやすいので気を付けてください」と注意を喚起しなかった場合には、店の過失になることもある。クリーニングに出しても汚れが落ちなければ、あらかじめ汚れの度合いに応じた補償額をルール化しておき、それにのっとった金額を支払うとよい。お客の中には、法外な損害賠償金を要求してくる人もいる。そんなお客に毅然とした態度で接するためにも、店のルールを定め、日頃からシミュレーションをしておくことが大切だ。

(日経レストラン編集部)