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クレーム・トラブル

泥酔客が畳に嘔吐。実費を請求できる?

請求は可能。ただ「請求せず」の対応が主流

2006年9月21日

アルコールの力を借りて憂さ晴らしをした結果、店の備品を汚してしまうという、ありがたくないお客もいる。

「請求できるか、できないか」の結論から明らかにすると、お客が嘔吐して店の備品を汚した場合、原状回復にかかった費用の請求は可能だ。

これは民法上の「不法行為」という考え方が根拠になる。民法709条では「故意、過失に関らず、ある行為によって他人の権利を侵害し、それにより損害を与えた場合には、賠償責任を負うべき」という内容を定めている。

嘔吐したお客の行為によって、そのままでは営業ができず、原状回復に費用がかかるという損害を店が被った場合、そのお客に対して、損害賠償を求められる。

具体的には、(1)座敷を吐瀉物でひどく汚され、畳の張り替えが必要になった、(2)室内に残ったニオイがひどく、次のお客を案内できる状態にするために、大量の消臭スプレーを使った、(3)スタッフのユニフォームにも吐瀉物がかかり、ユニフォームをクリーニングに出した──などの場合に、店が支払った金額を請求できる。

ただし、実際に請求するかどうかは別問題だ。馴染みのお客であれば請求は難しいだろうし、かなり大きな実害でない限り、請求しないという判断をする店が多いようだ。大手チェーンの場合も、「よほど悪質でない限り請求はしない。実際に請求しているケースもほとんど聞かない」と、基本的には「請求せず」のスタンスだ。

費用請求する場合でも、気配りは必要。嘔吐した本人や同伴者は「店に迷惑をかけた」とバツの悪い思いをしている。ある程度落ち着いたら「営業できる状態に戻すための実費だけをご負担頂けますか」と切り出そう。

もちろん、お客の泥酔や嘔吐そのものを回避するのが最良の策だ。これには早めの対応が肝心。宴会客なら幹事、グループ客であれば取りまとめ役の人物に対して、「あちらのお客様、かなり酔っておられるようですが、大丈夫ですか」などと、店側の心配を伝えよう。ほかのお客にからんだり、暴れたり、備品を壊すなど、迷惑行為が目に余るようなら、退店を促してかまわない。

(日経レストラン編集部)