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クレーム・トラブル

道路工事で客数減。補償を求めたい

相手に落ち度がなければ難しい

2007年5月7日

「店の近くで下水道工事が行われ、売り上げが落ち込んだ」場合、落ち込んだ分の補償を求めることはできるのか? 結論は「難しい」が大勢だ。

道路そのものや、上下水道などの設備は、故障や老朽化による整備工事が物理的に避けられない。こうした社会基盤の整備は道路に接した店も含めて、その道路を利用する社会にとっても必要不可欠なもの。工事が時々行われることは、道路自体が本来持ち合わせている条件であって(「権利の内在的制限」という)、それによってある期間、営業が制限されても、裁判所は「受忍(迷惑を被っても我慢すること)すべきやむをえない事情」と判断する。

ただし、例外もある。工事中に起きた事故で、通行や店の営業に支障をきたした場合などだ。また、工事の方法が悪くて、過剰な騒音や振動が発生したり、落下物などの危険がある場合は、工事そのものの違法性が問われることになる。しかし、いずれの場合も、売り上げが落ちたことと工事や事故との間に、明確な因果関係があることを証明する必要がある。

現実的には、「まったく通行できなくなった」といった特殊な場合を除き、補償を請求することは難しいだろう。私道の場合にも、道路の公共性を考えれば、同じ考え方が適用される。

一方、近所のビル建設に伴う道路の通行制限や、工事車両の往来など私的な要因で通行量が減ったケースはどうか? この場合の多くも、補償を求めるのは困難だ。例えば、店と駅などの集客施設との最短ルートが通行止めになったとしても、他の迂回路が確保されている限り、営業権侵害とは判断されない。

道路の通行量はさまざまな理由で変わる。例えば、店と駅との最短距離の中間に競合店が出店して、客足が途絶えて売り上げが落ちたとしても、その競合店に「得べかりし利益」の補償は求められない。それはその競合店が、合法的に正当な業務を行っているからだ。

ビル建設工事も同じ。相手の行為が合法的で正当な業務である限り、前面道路の通行がまったく不可能になるなどの特殊な場合を除いては、補償を求めることは難しい。

(日経レストラン編集部)