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経営

実績ゼロでも資金を借りるには?

2005年11月4日

鈴木 裕美

店の業態やコンセプト、出店場所の決定と順調に計画を進め、「目指すはこんな店」と青写真を描いても、資金がなくては開業はおぼつかない。しかし、経営の経験がゼロという状態では資金調達が難しいことも事実。そんな時、頼りになるのは、説得力のある数字を織り込んだ計画書と信用を高める自己資金、そして公的機関の融資制度だ。

「何にいくら?」を知る

開業資金は、「多いほどよい」というわけではない。たくさんの自己資金を貯めるのは大変だし、借り入れが多ければ、返済時の負担が大きくなり、経営を圧迫する。まずは、どんな費用が必要なのかを知り、リースによる設備調達なども考慮しながら、自己資金、借入金の適正な金額を決めることから始めよう。

費用項目は、大きく分けて6つ。開業場所を確保するための費用(賃貸契約金など)と設備工事費(内装や厨房、空調、家具など)、什器備品費(食器や鍋など)、広告宣伝費(メニュー、POP、開店チラシなど)、運転資金、そして雑費(ユニフォーム、電話、有線など)だ。

店の規模によって、項目ごとの費用は違ってくるが、自己資金の目安について、コンサルタントの原田諦氏は「総費用の40%は必要」と言う。事業が軌道に乗るまでの運転資金が必要なほか、金融機関などから借り入れする際にも、これくらいはないと、やる気を疑われてしまうからだ。手持ち資金がこの額になるまでは、開業を我慢するのが懸命だ。

借入金の目安は、残りの60%。ここで原田氏は、借入金に関して、「リースの利用も借り入れの一つとして考えたほうがいい」と指摘する。初期投資が軽減されるだけでなく、金利や保険料を含むリース料は全額経費として計上できるからだ。自分で購入し、減価償却をする場合、耐用年数が過ぎた後でも、実務上、購入価格の5%相当分は価値があると見なされてしまうため、経費に計上できない。

これらを踏まえた上で、実際に出店する際、どのような資金をどれだけ用意すべきかを考えてみよう。例えば、30坪50席の飲茶専門店の場合(下表)、初期投資の総額は4250万円。うち、40%に当たる1700万円分を自己資金で用意し、残り60%分の2550万円を借り入れればよいことになる。さらに借入金のうち、厨房設備と空調、家具、レジスターをリースでまかなうとすると、実際に金融機関などから借り入れる金額は1750万円分で済むというわけだ。

ここで注意すべきは、最低でも賃貸契約金だけは自己資金で用意するということ。保証金などは解約時に返金されるので資産とみなされ、これを担保にして融資を受けられる可能性もあるからだ。

また、初期投資を減らせるかどうかも検討する必要がある。賃貸契約の際に家賃や保証金が安くならないかを交渉したり、工事費は最低3社から見積もりを取り、相場をチェックすることも大事だ。

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