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経営

経営状況を把握する簡単な方法は?

売り上げなど五つのデータ管理から始めよう

2006年7月27日

ほとんど帳簿を付けず、カンに頼った経営をしている飲食店経営者は少なくない。よく「うちは月商1000万円程度」という言い方をするが、業態や立地により月の売り上げには波がある。その波を正確にとらえていないと、成り行き任せの仕入れになり、食材を無駄にしたり、販売機会を逃すことになる。税理士や会計士にデータ処理を依頼していたとしても、データを基に、経営指導までしてくれる税理士はほとんどいない。

そこで経営者個人でも比較的簡単にデータを管理できる手法がある。毎日の売り上げ、食材費、諸経費、来店客数、天気の五つを簡単な表を作って記入するやり方だ。市販の帳簿は、項目が細か過ぎるが、これなら各データを日付ごとに書き込むだけで十分だ。

伝票の金額を単純に足して集計、表に記入するだけで、売り上げが正確に把握できる。この日々の売り上げを週ごと、月ごとに集計し、データを蓄積していく。これをグラフ化すれば、月別売り上げの傾向、季節変動が一目でつかめるのだ。曜日ごとの売り上げを比較し、「週末は好調だが、月、火曜日が弱い。今後の課題はウイークデーの強化だ」などと経営判断もできる。

注意が必要なのは、金の流れには、現金に加えて、売掛金、買掛金といった掛け金があるということ。現金収支は、その日の分として記入するのは当然だが、掛け金も現金と同じように扱う。たとえ売り掛けでも、その日に販売したことに違いはなく、その日の売り上げとして集計しなければならない。

日常業務で使用する消耗品、家賃、光熱費、人件費などは、諸経費に入る。このうち、毎日伝票に記入する必要があるのは消耗品の項目。例えば、「ビニールテープ1本購入、150円」と書いていく。光熱費は、請求書が届いた段階で記録を残す。翌月に口座引き落しになるケースも、その月の使用額とする。人件費は、給与の支払日に記録しておく。人件費を売り上げで割れば、人件費率を出すことができる。

客数は注文伝票で把握できる。伝票に客数を入れる項目がなければ、余白に書く場所を決め、従業員に記録を徹底させよう。客数が分かれば、売り上げを客数で割って客単価が出る。客単価は、メニュー構成や価格を決定する重要な判断材料となる。

さらに天気。これは店の経営戦略を立てる重要なデータだ。曜日ごとに集計した売り上げに天気の要素を加えると、「晴れの土曜日は売れるが、雨なら駄目。明日の土曜日は雨の予報だから、仕入れを控えよう」と応用が利く。また、客単価と曜日を照合すると、「晴れの週末が最も客単価が高い」などと分析ができる。

データ集めは数日では不十分。最初から成果を期待せず、地道にデータを積み重ねていこう。1カ月続ければ4週間分が集まり、曜日ごとの傾向が見えてくる。

慣れてきたら、五つのデータを活用してもう一歩、深い分析をすることができるようになる。

例えばメニュー別売り上げだ。伝票に注文を受けたメニューを明記し、各々の1日の販売数を集計する。これだけで売れ筋は分かるが、販売数に商品価格を掛けると、メニューごとの売り上げを把握することができる。これを売り上げ上位から累積で合計していくとABC分析になる。ここまでやると、一見売れているようでも、あまり売り上げに貢献しないメニューがあることが分かってくる。

無理をせず、一歩ずつ進むのが、成功への近道だ。

(日経レストラン編集部)