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経営

従業員の生産性を上げるには?

人時売上高と人時生産性で無駄を省く

2006年8月7日

従業員の労働生産性を測る代表的な指標は、「人時売上高」と「人時生産性」の2つ。

人時売上高は、従業員1人が1時間当たりに、どれくらい売り上げているか、人時生産性は、従業員1人が1時間当たりに、どれくらい粗利益を上げているか、を示している。

一般的に、飲食店では、人時売上高で労働生産性を管理したり、分析している。まず、その人時売上高の計算方法を紹介する。

例えば、A店の1日の売上高が50万円で、その日の総労働時間(社員、パート含む)が100時間の場合、人時売上高は50万(円)÷100(時間)=5000円/時間となる。

人時生産性は、人時売上高×売上高総利益率(粗利益率)。仮に売上高総利益率が65%であれば、人時生産性は5000×0.65=3250円/時間となる。

人時売上高が算出できれば、例えば、「人件費を売上高の28%に抑える」ためには、どのくらいの労働生産性が必要かも弾き出せる。現在の従業員平均時給(社員、パート・アルバイト含む)を算出し、目標人件費率をもとに逆算すれば、計算は簡単だ。

人件費率28%を目標とした上記の例の場合、仮に平均時給が1500円ならば、1500÷0.28=5357円/時間となる。つまり1時間に5357円以上の売り上げを確保すれば、売上高人件費率を28%以下に抑えることができる。これが目標人時売上高になる。この場合の人時生産性は、売上総利益率が65%ならば、5357×0.65=3482円/時間と算出される。

飲食業が目指すべき人時生産性の水準は5000円/時間といわれる。この数値は、他産業並みの労働条件、賃金、年間休日を確保しながら成長していくことを前提にした場合の目標値である。これは、仮に売上総利益対人件費率(労働分配率)を35%とした時、平均1750円の時給を支払えるレベルの生産性を示す。ただ、実際の外食企業の人時生産性は、5000円/時間に遠く及ばないのが実態だ。

労働生産性を高める方法の代表例を四つ紹介する。

  1. QSC(品質、サービス、清潔さ)レベルを向上させ、売り上げをアップさせていくこと。
  2. 厨房内の仕込み作業の効率化や外部化により、直接的な調理作業以外の時間を縮小し、総労働時間を減らすこと。
  3. ピークタイムに少人数でオペレーションできる厨房レイアウトにし、人件費を減らすこと。
  4. 人時売上高や人事生産性を社員にだけでなく、P/Aにも把握させて、カネに関する意識を高める。

この4つのポイントからも分かるように、労働生産性の改善は、店舗運営のソフト・ハード両面からアプローチしていく必要がある。コスト削減も重要だが、理想を言えば、生産性の向上は、知恵を絞り、現状の労働時間と予算内でできる限りQSCを高めることである。要はムダを省き、効率よく働きながら、お客に満足してもらうことを目指すのだ。

その結果として、リピーター客を増やし、新規客を獲得することで、客席回転率が向上し、売り上げが増加する、という戦略で臨みたい。ついつい目先のコスト削減にとらわれがちだが、QSCを無視して従業員の数を減らし、支払う人件費の額を削減しても、長期的に見れば、お客を失うことになる。

(日経レストラン編集部)