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経営

賃料引き下げ交渉のコツは?

周辺相場と事業計画を提示して説得する

2007年9月3日

賃料は「売り上げの10%以下を目安に」と言われる通り、決して小さくない支出だ。できることなら値下げしてもらいたい、と考える飲食店経営者も多いのではないだろうか。とはいえ、大家の経営環境も厳しく、ビル建設時の借入金の返済に苦しむなど、金銭的に困っている人も多い。そう簡単に値下げに応じてもらえるとも思えない。

しかし、大家側の経営環境の悪化が、逆に大家の説得材料となることは、意外に知られていない。例えば、今のテナントに出ていかれたら、大家は新規の契約先を探さなければならないが、借り手市場の現在、希望通りのテナントが簡単に見つかるとは限らない。それなら、「今のテナントの賃料を多少下げたとしても、新規にテナントを募集するよりは、大家にとってはまだましだ」ということが多い、と店舗専門のある不動産会社社長は語る。

説得次第では、大家の理解を得たうえで、賃料を下げられる可能性もある。法的には、賃料は契約の期限切れを待たずとも交渉できる。賃料負担を重く感じるのであれば、すぐに行動することが重要だ。

大家に値下げを認めさせるには、具体的にどう攻めたらよいのか。まずは、説得材料として、周辺の相場を調べること。そのうえで「今の賃料は周辺よりも高い」と、具体的な金額を示して主張すると効果が高い。

また、店の経営が悪化して賃料負担が重くなったならば、素直にその点を訴えるのも一つの作戦だ。極端な話だが、店の採算が悪化して賃料未払いにでもなれば、大家にとってデメリットとなる。店の経営状況を分かってもらえれば、大家が賃料を見直すきっかけの一つになる。

ただし、値下げを要求するあまり、自分の意見に固執し過ぎるのは考え物。建物賃貸借に詳しい弁護士によれば、「実勢相場が低いからといって、一気に相場と同水準にまで下げられると期待するのは無理がある」。ある程度賃料を下げられたら、後は「共有スペースに店の看板を置かせてほしい」と頼むなど、賃料以外の面で“条件闘争”してみるのもよいだろう。

また、賃料引き下げを要求するからには、日頃から賃料を滞納せずに、大家との信頼関係を築いておくことが大切。借り手としての責任を果たさずに、都合のいい要求だけをしても、オーナーは聞く耳を持ってくれない。

好立地の物件では、逆に大家側から賃料引き上げの交渉を持ち込まれることもありうる。固定資産税の上昇も賃料上げの理由の一つになりうる。

しかし、ビルオーナーの要求をそのまま受け入れる必要はない。法律では、賃料の増減の請求がなされたときは、まず両者で協議を行い、新賃料を決めるよう規定しており、協議が整わない時には、増減請求した側が簡易裁判所に調停を申し立てなければならない。

調停では、裁判所が簡易不動産鑑定などで相当と思われる賃料を調停案として提示することがある。その賃料で互いに納得すれば、調停は整う。納得しない場合は、裁判になり、裁判所が相当と思われる賃料を決定する。

当然、調停や裁判になれば、弁護士報酬など多額の費用が掛かるので、協議で決着を図るのが最良の道だ。

互いの協議で賃料を決めるにあたっては、駆け引きによって妥協点を見出すことになる。近隣の同条件の店舗の賃料水準および賃料の改定率をできるかぎり詳しく調べて、交渉材料に使うことがポイントだ。従って、相場より安い賃料の場合、裁判や調停では、ある程度の値上げが認められることを念頭に置くのが現実的だ。

(日経レストラン編集部)