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採用・教育

視野の広い調理人を育成するには?

実務だけでなく計数管理や栄養学も教える

2005年12月8日

ある和食チェーンでは、高校の新卒者を対象に、入社と同時に1年間、調理に関する知識・技術を習得させる目的で、社内にスクールを開いた。授業は週3日で、残りの2日は仮配属の店舗で1日8時間働く。夏期・冬期休暇はあるが、繁忙期に当たるため、休暇期間中は毎日店に出勤。年間を通じて週休2日は保証されている。

学費は免除の上、「半分学生・半分社会人」の身分ながら、会社から初任給の7割が支給され、授業のある日でも夜に店舗でアルバイトすれば、その分の時給も別途支給される。卒業後は別の店舗に配置替えとなるが、他の2年生社員と同等に処遇されるという仕組みだ。

入学は強制ではなく、希望者のみ。スクールのカリキュラムは、週2日間の講義と1日の調理実習からなる。講義内容は、衛生法規や栄養学、食品学、調理理論などの「専門科目」、計数管理や原価計算などの「飲食店経営学」に大別される。また、マナー&エチケット、茶道・懐石といった「一般教養・社会常識論」や、窯元見学などの社外学習を盛り込むなど、多岐にわたる。講師も社内講師のほかに、調理学校や大学・高校の教師、文化教室の先生という充実ぶり。それだけに、スクール生の人件費を除いた年間の運営経費は700万~800万円にも上る。

この制度の導入に当たっては、現場の反発の声が少なくなかった。同社に入社する高卒者は調理経験がほとんどなく、一から教え込む必要があるが、それだけならオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で十分なはずというのが現場の主張だった。彼らの声を抑え、あえてスクールを開校した理由を、「幅広い視野と柔軟な発想、そして経営者感覚を持った調理人育てたい。長期的に見れば、この投資は会社のためにもなる」(人事部)と話す。

調理人の世界は、修業を積んで一人前という考え方が昔からあるが、現場に入っても、調理するのは店のメニューばかりなため、技術や知識が偏りがち。ただ料理を上手に作るのではなく、フードビジネス、フードマネジメントという食にかかわる知識を身に付けることは、本人のためだけでなく、ひいては店のサービスや会社のイメージ向上につながると。

(日経レストラン編集部)