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採用・教育

社員を育てるユニークな教育法は?

座学では得られない、知識と自信が付く体験学習に注目

2006年7月10日

飲食業界は、ほかの業界に比べて人材の流動が激しい。しかし、良い人材には長く働いてもらいたいもの。そのためには、社員が自信を持って働けて、会社に対しても信頼感を寄せる環境づくりや教育が大切だ。

ステーキハウスをチェーン展開する、ある会社のユニークな研修を参考にしてみよう。毎年6月、新入社員約20人、入社3年目位の中堅社員約20人を対象に、それぞれ2泊3日の合宿研修を行う。場所は北関東の牧場。最寄りのバス停から歩いて1時間はかかる山奥だ。

最大の特徴は、参加者が実際に牛の世話や枝肉(半身)の解体を体験する点にある。新入社員は、牛のエサになるトウモロコシ畑を耕したり、糞の始末をしたりという内容。中堅社員は、牛の角切りやこう丸抜きまで行う。さらに、新入、中堅それぞれの班が、調理長などの指導で、店舗から運んだ牛の枝肉を1頭ずつ解体する。

ここまでするのも、社長が「社員の多くは、生きた牛を間近に見たこともない。自分たちが扱う商品がどこでどのように作られているのか、その現場にさかのぼって教える必要がある」と考えるため。体験を通して、牛肉という商品の成り立ちがわかるし、商品知識が深まり、自信を持って接客ができる。いずれも座学では得られないものだ。

この研修のもう一つの狙いは、「従業員の会社への信頼を勝ち取ること」。合宿中は、社長と幹部社員が、研修生と寝食を共にする。「朝5時から真夜中まで、いつも一緒に行動することで、自分たちが信用できる人間かどうか分かってもらえるはず」と、社長は言う。

さらに、1カ月かけて準備した牛肉に関する最新資料を配布し、社長自らが講義を行う。「中には牛肉に詳しい社員もいる。しっかりした資料を渡すことで、会社への評価も高まる」。そして社長が一生懸命に伝えようとする姿に、社員は好感を抱くという効果もある。

この研修には、約200万円の費用がかかるが、「やるだけの収穫はある」と社長は力を込める。現場の店長から「うちの中堅スタッフを早く合宿に参加させてほしい」と要望が出るほど、期待されるものとなっている。

(日経レストラン編集部)