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採用・教育

優秀な社員の引き抜きにどう対処?

感情的にならず冷静に。定着率のいい環境作りを心がける

2006年11月2日

どの飲食店にとっても、優秀な人材は喉から手が出るほど欲しいはず。手っ取り早く人材を確保するために、他社から強引にスカウトするケースも目立つ。そこに仁義はなく、「抜いた」「抜かれた」で、トラブルにまで発展するケースも少なくない。

関東のあるレストランチェーンでは、関西の別のチェーンに店長を引き抜かれた。「頻繁に来店し、営業時間内に声をかけるなど目に余るやり方だった。その企業との付き合い方を変えようかと思う」と、社長は大いに憤慨する。

外食産業を中心に人材斡旋をする、ある人材スカウト会社の社長は、「コック、店長から本部の部長、役員クラスまで、スカウトを引き受けている。他産業から引き抜くのは役員などで、これら幹部クラスが全体の半分。残りは現場のスタッフ」と話す。

スカウトは、人の流動性の高い業界の宿命。感情的になるより、「人材の移動は当然」というスタンスでいるほうが、前向きに事態に対処できるといえるようだ。「下手にじたばたすると、対外的にも社内的にも信用を落とし、かえって定着率も落ちる」(経営コンサルタント)という意見も知っておきたい。

逆に同じ業界内で他社からスカウトする際には、「自ら動くと叩かれる。間に人を介するのがコツ」(大手居酒屋チェーン人事部長)。直接引き抜く場合は、「元の企業には『自己都合で退職する』と伝えてもらい、退社の理由を明かさない方が、よけいな問題や障害が起きない」(スカウト会社社長)という声もある。

法的にはどうだろうか? 社員をスカウトされた企業が、幹部社員やコックなどを失ったことにより、営業が停滞したとして、スカウトした側の企業や移った社員に対して補償を求めることはほとんどできない。「職業選択の自由があるのだから、相手企業に抗議してスカウトされた人を取り戻すなど、現実的には不可能」(別のスカウト会社社長)である。

人材のスカウトは世の流れ。深刻にならず、むしろ良い人材が定着してくれる環境作りに努めていきたい。

(日経レストラン編集部)