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採用・教育

アルバイトを短期間で育てるには?

ロールプレイングが有効。自店のやり方をあらかじめ決めておこう

2007年5月28日

個人店は開店前のP/A研修を怠るケースが多い。ぎりぎりのスケジュールで開店にこぎつけることになったり、「開店してから必要に応じて教えていけばいい」と、スタッフ教育を軽く考えがちなためだ。しかし、研修を怠ったために開店早々からミスを連発し、出だしから悪い評判が広がった店もある。こんな事態を防ぐには、開店前にきちんとP/A研修を実施することが重要だ。

限られた期間で教育効果をあげるのにお勧めなのがロールプレイング研修。行う際は、一度に何もかも詰め込むのでなく、まず一つひとつの動きをみっちり教え、後半で仕事の流れを覚えさせること。そのため研修は1日5時間程度にとどめ、最低でも3日、可能なら5~7日かけて行いたい。開店直前は最終準備などで慌しくなるため、3日前までに終わらせるのがベストだ。

初日にやるべきことは、スタッフ合同でメニューなどの略称を確認する作業だ。飲食店の現場では、「ベーコンとほうれん草のパスタ」を「ベーコン」と呼ぶなど、メニューを正式名称でなく略称で呼ぶ場合が多い。こうした略称を店全体で統一しないでいると、後々、オーダーミスの原因になりかねない。また、調理器具や食器、備品がどの場所に収納されているのかを覚えさせることも重要だ。店内をくまなく案内し、「この場所をデシャップと呼ぶ」といった約束事も伝えておこう。

2日目から4日目までは、厨房係とホール係に分かれて研修を行う。まず2日目と3日目は「ドリンクを運ぶ」「レジを打つ」といった動きを反復練習させる。「ドリンクを運び、テーブルに置く」という簡単な行為一つとっても、きちんと指導せず自己流に任せれば、レベルのバラつきが生じてしまう。「コップは下のほうを持ち、お客様の右側にそっと置く」といった具合に「自分の店のスタイル」を決め、それに従わせることが大切だ。

一つひとつの動きを連動させ、「お客を出迎え、席に案内し、オーダーを取る」といった一連の流れを練習させるのは4日目。5日目は、厨房とホールが連携し、お客役がオーダーした料理を厨房で実際に作って提供するところまで行う。この5日目で、試食会を兼ねるのも有効だ。すべてのメニューを試作し、スタッフ全員に食べさせる。自身が食べたことがなければ、お客に対して料理の説明はもちろん、店としてのお薦めを伝えることさえできないからだ。

成功への近道は、あらかじめ店の方針や細かなルールを明確にすること。また、「本番と同じ環境で行う」というのも大きなポイントだ。食器や備品の収納が間に合わず、段ボール箱が店のあちこちにつかみあがった状態で研修をする店があるが、これでは意味がない。徹夜をしてでも事前に片づけをすませる姿勢が大切だ。

ロールプレイング研修は、繁忙期が間近で、一度に多くのアルバイトを戦略化したいときにも有効だ。だが、研修に1日5時間ずつ数日間も割く時間的余裕がない場合は、大手ファミリーレストランのある店長がそんな時にだけ使う、独自の教育法を真似てみるのも手だ。

これは、備品の置き場や最低限必要な基本作業などを一通り教えた後、大きな模造紙にペンで書いた「達成表」を使い、競争心を掻き立てることで5人以上のアルバイトを一度に一人前のホールスタッフに仕立て上げるというもの。5年間の店長経験でわずか2回しか使っていない“奥の手”だそうだが、効果は折り紙付きだという。

(日経レストラン編集部)