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店舗・内装

照明を効果的に使うには?

「夕方に近い日光」の演出がくつろぎの場を作る

2006年4月20日

今、飲食店には心が落ち着く「くつろぎの場」が求められている。空間演出に欠かせないのが照明だ。照明は部屋を照らすだけでなく、お客の心を和ませる役割を果たしている。

お客がくつろげる光の条件は、二つある。一つは光の色が赤っぽいこと。もう一つは低い位置から、間接的に不均一に、少し低めに照らすことだ。

これらの条件を満たすと、「夕方に近い日光」の状態になる。まさに仕事を終えて休もうとする、落ち着いたくつろぎの時間帯の光環境だ。

これがもし、高い位置から均一に白っぽい光で照らせば、昼の状態に近くなる。これでは、人間を活動的にするばかりで、一向にくつろぎの空間にはならない。

飲食店では、一般的に白熱灯と蛍光灯が使われている。それぞれ発する光や照らす物の色の見え方が違う。どうしても白く寒々しい光を発する蛍光灯に対して、白熱灯は赤っぽく温かい光を出す。

従って、くつろぎの夕方に近い光を作り出すには、やはり白熱灯を使うべきだろう。料理などの複雑な色彩をより鮮やかに見せ、食事相手の顔もよく見えて、楽しい気分にさせる効果もある。

二つ目の条件を満たすには、ペンダント照明(天井から吊り下げる形式の照明)やスタンドを低い位置にし、天井や壁の間接照明を、部屋全体を均一に照らさないように工夫をする。

これらのくつろぎの光の2条件を、自店に合わせてアレンジしてみよう。

ある居酒屋では、テーブルの上部70cmという通常より10cmも低い位置に、ペンダント照明を吊るしている。普通は、このように光源が低いと、光のギラツキによってお客に不快感を与えてしまうものだが、それを和紙で作った傘をかぶせ、和紙に光を透過させることで、クリアした。和紙の持つ温かさも魅力的だ。

上から下に照らす照明だけでは、時には空間全体を狭く感じさせるもの。それを避けるためには、同時に間接照明で壁や天井を照らすのも一手だ。

また、くつろぎに不可欠なのがプライベート感のある空間作りだ。それを「明るい場所と暗い場所を交互に作る」という照明のテクニックで作り出したケースがある。これは別の居酒屋の例だが、客席のテーブルだけをダウンライトを使って照らし、テーブルとテーブルの間の照明はわざとぐっと暗くしてメリハリを付け、隣の席との距離感を心理的に広げることに成功している。個室感のある居酒屋のように仕切りが無くても、目に見えない黒いカーテンがあるかのように、プライベートな空間を確保できたわけだ。

色温度と照度のバランスを変えることで、光が演出する雰囲気が変化する。電球など3300ケルビン以下の、色温度が低い光源は赤みを帯び、温かく落ち着いた雰囲気がでる。色温度が高くなるにつれ、3300~5000ケルビンでは白に、5000ケルビン以上では青みがかった白になる。色温度の高い光は、さわやかさや涼しさを感じさせ、活動的な雰囲気に。ただ、色温度が高い照明の場合には、照度を高めに設定しないと陰気な印象になる。一方、色温度の低い光源を使う場合、照度を低めにしないと暑苦しさを感じさせてしまう。

一般的な色温度と照度のバランスの目安は、色温度の低い光源を使う場合は500ルクス以下、色温度が高い光源を使う場合には500ルクス以上といわれている。

(日経レストラン編集部)