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店舗・内装

一酸化炭素中毒を防ぐには?

事故の大半は換気装置の不使用が原因

2006年9月4日

数年前、東京都内のラーメン店で一酸化炭素(CO)中毒と見られる事故が発生した。新聞報道によると、換気扇を回さずに一晩中、スープの鍋を火にかけていたという。また、神奈川県内の焼き鳥店で、換気装置のスイッチを入れ忘れたため、炭火からCOが発生し、中毒事故が起きたという記録も残っている。事故件数が極端に増えるわけではないが、決して無くならないのがCO中毒だ。

COは、ガス機器や炭火を使った調理器具が、酸素不足によって不完全燃焼を起こした時に発生する気体。東京ガスは、「大半の事故は、換気装置を使っていないことが原因」という。

「例えば、夏場に、冷房の効率が悪くなるからと換気扇を回さなかったり、マンションの1階にある店が、早朝から換気装置を使うとマンションの住民から『騒音だ』とクレームを言われるとして、十分な換気をせずに仕込みをするというケースがある。こうした換気に対する認識の甘さがCO中毒を招く」と警告している。

あるコンサルタントも、「厨房に入ったら、まず最初に排気スイッチを入れる習慣を付けること」と、換気の重要性を訴える。「米国の飲食店では、換気装置の電源を入れないとガス機器の電源がオンにならないインターロック機能が普及している。日本では換気に対する意識はまだまだ低い」とのこと。

従業員に換気の大切さを周知徹底するだけでなく、うっかりミスを防ぐ工夫を考えるのも大切だ。「電源を24時間入れっぱなしにするものは赤色、換気装置のように従業員が店にいる間はオンにするものは橙色、その他は緑色のシールを電源スイッチに貼って色分けすれば、アルバイトも覚えやすいし、付け忘れも防げる」。

排気ダクト内や換気扇の清掃が十分に行われていないことも、CO中毒の原因になり得る。ダクトなどに油やホコリが付着すると、空気の出口がふさがれてしまい、思うように換気ができない。定期的な清掃はもちろんだが、「吸気口に紙片や布切れなどを近づけ、適切な風量があるかを毎日確かめること」を勧めている。

一方、ガス機器の点検・清掃も欠かせない。密閉式のオーブンなどの場合は、給気口付近に段ボールなどの荷物を置かないように注意することも大切だ。また、ガスの炎の色にも注目したい。火は、正常に燃焼している時は青色だが、黄色や赤色になったら不完全燃焼の恐れがある。そういう場合は、いったん機器を止めてメーカーに点検を依頼するといい。

COはほぼ無臭で、いわゆるガス臭とは異なるため、気付くのが遅れるケースが多い。軽い中毒の段階では、頭痛や眠気、吐き気などの症状が生じる。万一、そうした症状を感じた場合は、濡れタオルで口や鼻を覆い、息を止めて店の窓を全開する。そして、燃焼機器の使用を停止して、安全確認をする。

症状が重い場合は、呼吸数や脈拍数が増加し、意識があっても身体が自由に動かなくなる。さらに進むと意識が無くなり呼吸が停止し、死に至る場合もある。すぐに意識が戻り、その時はまったく症状が見られなくても、しばらく経って、記憶障害などの神経症状が現れることもある。意識の有無にかかわらず、必ず医療機関で受診をすること。

不完全燃焼の警報機能が付いたガス漏れ警報器を設置しておくと、より安心。規定値以上のCOを感知すると、ランプと警報音で知らせてくれる。

(日経レストラン編集部)