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店舗・内装

建築コストを抑えるには?

建物全体の軽量化がコスト削減に

2007年7月9日

店舗を新築する際の建築コスト削減方法は、多岐にわたる。数多くの方法の中から、自店のイメージや運営に合ったものを選択するのがよいだろう。

まずは、どこに発注するか。飲食店の設計経験が豊富な設計者に依頼するのが理想的だ。設計・監理料が発生するが、設計者には、施主の利益を守るために、施行業者を監理する義務がある。適正な材料を適正な工法で組み上げるよう、意見を言ってくれる。また、施行業者の見積もり額の評価も行うので、不当に高過ぎるものを排除できるメリットがある。

建築費については、あらかじめ出せる予算をしっかりと設計者に伝えることが必要だ。そして、その予算内で最大のデザイン効果を上げるように要請する。施主であるオーナーがイメージする店舗デザインを設計担当者にしっかりと伝えないと、店のコンセプトと合致しないものになりかねない。

限りある建築費を有効に使うには、どこにコストをかけるかをしっかりと絞り込むことが大切だ。特にお客の目に最初に触れるエントランス周りやファサードにはコストをかけるべき。また、働きやすさを考えれば、厨房の設計には手を抜いてはいけない。

建物の構造は、大きく分けて、鉄筋コンクリート(RC)造、鉄骨(S)造、木造の3種類ある。1~2階建て程度の低層店舗を作るなら、強度的に見て鉄骨造か、木造で十分。鉄骨造は柱の間隔を長くできるので、テーブル配置の自由度が増す。だが、建築費の面では木造が有利なケースが多い。ただし、都心部や震災時の避難経路にある防火地域では、鉄筋コンクリートなどの耐火建築物でなければ建てられないなど、地区ごとに規制があるため、用地取得の際には注意が必要だ。

建物の構造に連動して、建築コスト削減に大きな効果を生むのが屋根の軽量化。屋根を軽くすれば、支える柱や梁の数を減らしたり、細くできる。建物全体を軽くできれば、建物を支える基礎工事の簡素化も可能になる。

飲食店でよく使われる屋根の仕上げ材は、重いものから順に、本瓦→模造瓦→セメント板→金属板などがあり、価格も順に安くなる。当然、見た目の高級感とは二律背反の関係にあるが、お客からの見え方次第で安価なものに変更することも可能だろう。

ある和食系ファミリーレストランでは、本瓦を模造瓦に変更した。模造瓦とは、瓦を何枚か並べた形状に見えるように金属板を成型したもので、本瓦に比べ、屋根の重さは約半分。瓦職人も必要ないので人件費が削減でき、工期短縮にもつながった。本瓦ほど重厚感は出ないが、遠目には瓦に見え、和風のイメージが出せるため、和食チェーンで多く採用されている。

板状に固めた黒色のセメント板は、そこそこの高級感を出せるので、洋食系ファミリーレストランでよく使われている。また、屋根を金属板でふく「瓦棒ぶき」を採用している和食系ファミリーレストランもある。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造では、必ずしも“屋根”を付ける必要はない。屋上には防水工事をしておき、周囲から見えるところにだけ、飾りとしての屋根を付けることもできる。両脇に建物が隣接している場合は、正面だけですむ。こうすれば、屋根材の量を減らせるので、軽量化と同時にコストダウンも図れる。

構造の選択のほか、外壁や内壁などの施行方法や仕上げを工夫することで、細かなコスト削減ができる。

例えば、外壁。和食店ならそれらしく見せるため、蔵の外壁のような漆喰塗りを選択したくなるが、仕上げを職人の手作業で行うので工費がかさむ。同様の見栄えの化粧をしたパネルタイプの外壁材を張り付ける場合は、熟練工でなくても工事が可能なので安く抑えられる。

内装は簡素化しても、置き物などの装飾でカバーできる。一般的に、喫茶・軽食店は定期的な改装が必要とされ、壁材などにコストをかけるのは無駄になりがちだ。一方、和食店はそうそう改装することはなく、床、壁、天井などの内装材にはよい材料を使うべきだろう。

(日経レストラン編集部)