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百年の店、百年の言葉

哥利歐(ゴリオ)

常にこの1枚にまっさらな目で向き合います

2011年9月7日
哥利歐(ゴリオ)

増山三男◎1958年生まれ。高校卒業後、いくつかのレストランでの修業を経て、25歳のときに「麤皮」で働き始める。「哥利歐」での仕事は16年に及ぶ。

人間界ではすでに処女性などというものを神聖視する者は少ない。が、牛肉の世界ではいまもしっかりと重きをなしている。

ここ「哥利歐(ゴリオ)」で出す自慢の但馬三田牛は、2歳半から3歳弱の処女牛だけである。混じりけなしの正真正銘の純血統種のうまさは、遥かに高い頂点に鎮座ましましている。

そのジューシーさ、そのきめの細かさ、その柔らかさ、その上品な香り。あらためて肉の偉大さが舌の上で乱舞し、いままでのステーキの概念が一挙にふっ飛んでしまう。人として大きな「知る悲しみ」を体験してしまうことになるかもしれないが、一度は、この大牢の滋味を知るべきだろう。

「哥利歐」のサーロインは、2人分のサイズがあり、赤々と燃える紀州備長炭の上に載せられ、直火でじっくりと焼かれる。下味はシンプルに塩と胡椒だけ。焼き加減はベリーレアからベリーウェルダンまでの10段階に分かれる。人気はやはりミディアムレアのようである。特注の炉窯は肉を入れるとすぐに蓋を閉めるから、焼け具合の判断はジュージューという焼き音だけが頼りだ。

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