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百年の店、百年の言葉

ナポリマニア

人と人の距離が近い、下町の食堂が理想です

2012年8月1日
人と人の距離が近い、下町の食堂が理想です

ルイジ・デ・クレメンテ◎子供時代から親類の店を手伝い、自然と飲食の道へ。2001年に来日。都内の有名イタリア料理店で働き、昨年4月「ナポリマニア」を開店。

ナポリ生まれでナポリ育ちのルイジ・デ・クレメンテにとって、2001年は運命の年であった。たまたま日本にバカンスで来ていて、知り合いの紹介で、これまた、たまたま小遣い稼ぎにイタリア料理店でアルバイトしたことがきっかけで、11年間も日本に居座ることになった。明るくイケメンのルイジは、気がついたらワーキング・ビザを獲得して日本人の料理人とタッグを組んで「ナポリマニア」という店の共同経営者になっていた。だから人生は面白い。

もともとルイジはナポリで料理人をしていた。が、社交的な彼はキッチンから飛び出して接客サービスの道を選んだ。この36歳のナポレターノは、先輩の料理人、ティツィアーノとシェフ兼共同経営者、古賀学の腕前を敬愛し、てきぱきと注文をイタリア語で伝達する。面白いことにほかの日本人スタッフたちもデコ、ミケーレ、アンジェロとイタリア人の愛称で呼び合い、仲の良さが伝わってくる。みんな気持ちよく日曜日も働いている。年中無休なのだ。

開店は3・11の大震災の後の4月28日だった。その日、600個のライスのコロッケ“アランチーニ”やジャガイモのコロッケを作り、ルイジが先頭になって道行く人にタダで配った。これは一枚のチラシより絶大なる効果があった。手作りの味に歓喜したお客が殺到した。そのなかの1人はいまでも毎日通ってくる。

店の構えはピッツェリアだが、味はリストランテに負けていない。イカスミを練り込んだパスタと白いパスタを編んだロリギッタスの上にサルデーニャ風にボッタルガ(カラスミ)をかけた一品にわたしは一瞬言葉を失った。ピザの生地をはじめ、パスタから生ソーセージまですべて手作りなところが気に入った。

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