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百年の店、百年の言葉

四季のおでん

気の入ってない料理は、気の抜けた料理です

2012年9月5日
気の入ってない料理は、気の抜けた料理です

丸山幸二◎18歳で料理の世界に入る。大阪の料亭で11年間修業し、基礎を固めた頃に「四季のおでん」の味に出会って衝撃を受け、この店に移る。2002年から銀座店を任される。

おでんを冬の食べ物と考える人は「四季のおでん」ののれんをくぐるべきだ。固定観念は一瞬にして吹き飛ぶ。料理長の丸山幸二がこころを込めてつくるおでんは、一品一品、料理法も味付けも違っている。毎日取るダシは羅臼の真昆布とモミジ(鶏の足)を使い、上品で滋味深い。

1月2月の鴨ねぎが絶品である。3月はハマグリだ。4月になるとタケノコとホタルイカ。鯛茶漬けもイケル。5月はやっぱりハモだろう。6月7月8月は山椒味噌をつけて食べるタコ。10月には舞茸が登場する。11月12月は雪菜。一年中食べられる滋味はサエズリである。鯨の舌をよくぞサエズリと名付けたものだ。もともと関西の食材だが、この店ではリーズナブルな値段で出してくれる。

はじめてサエズリを食べたのは、開高健と大阪新地の「万卯」だった。この記憶が忘れがたく、ある日食いしん坊の親しいデザイナー、長友啓典に訴えたら、「銀座に安くサエズリを食べられるところがあるよ」と連れて行ってくれたのが、大阪に本店を持つ「四季のおでん」が11年前に銀座に出したこの店だった。

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