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百年の店、百年の言葉

裏恵比寿 自然生村

素朴な料理ばかりなので、ブレない味を心がけています

2012年10月3日
素朴な料理ばかりなので、ブレない味を心がけています

越田裕之◎19歳でレストランに勤務。厨房とホールの両方で経験を積み、29歳のときに広島市の居酒屋に移る。「自然生村」のオープンとともに東京に転勤。素朴な料理ばかりなので、ブレない味を心がけています

「裏恵比寿 自然生村」は毎日大繁盛している。自然薯は日本原産の野生種で、滋養満点の自然のスタミナ山芋である。だから江戸時代には“山ウナギ”と呼ばれていた。

地上は蔓になっていて小さな粒のようなムカゴをつける。この塩ゆでは酒のつまみに抜群だ。しかし、地中深く根を張る自然薯を、傷をつけずに掘り出すのは至難の業である。しかもどこに生えているかわからない。だから本来は市場には出回らない貴重な食材である。

そんな自然薯を人の手で生産している農家が山口県にいる。風味も肝心のねっとり感も市販の山芋とは全く別物だ。そんな自然薯が大きな段ボールで2日に1度「自然生村」に送られてくる。都会で働く人たちは疲れているのだろう。ランチタイムに行くといつも行列が出来ている。夜は予約が絶対必要だ。わたしは3度電話してやっと夜の10時過ぎに席が取れたほどである。

まずは塩ゆでのムカゴで、タリスカーに黒胡椒を振りかけたスパイシー・ハイボールをやっていると、「生トロ」と名づけられた自然薯のすり下ろしのダンゴが2つ出てくる。自然薯のヒゲをバーナーで焼いたあと、皮ごとすり下ろしたもので、塩かワサビ醤油で食べる。ねっとり感は間違いなく精がつく感じだ。

追いかけるように、名物「すりおろし自然薯とろろ鍋」が出てきた。鍋には牛の小腸が入っていて、生トロがゴロゴロ入っている。最後は鍋にご飯と自然薯とろろをかけ入れてオジヤの出来上がりだ。

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