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飲食ビジネス価値創造

和食普及の鍵は「シェア」 海外で日本料理人を育てよ

アラン・デュカス フランス料理シェフ

2015年3月9日
アラン・デュカス フランス料理シェフ

Alain Ducasse 1956年フランス生まれ。ホテルのレストランで史上初のミシュラン三ツ星を獲得、現在、世界各地で20以上のレストランを運営する

 外国人料理人による日本料理コンペティション「和食ワールドチャレンジ2015」で審査しました。

 決勝作品の半分は、私にとって和食とはかけ離れた、“遠い親戚”のような料理でした。この結果は、和食は世界でまだ浸透しておらず、これから進歩する余地がたくさんあることを示しているとも言えます。

和食を広めるには、ノウハウのシェアが大切です。しかも料理は変遷しますから、伝統から近代、そして現代までのノウハウを広く分かち合わなければいけません。フランスは5世紀も前から書物があってシェアしてきましたが、和食が海外に向けて飛び出したのは最近のことでしょう。これからです。

そして、知識の継承です。そのためには、日本料理人を教師としてフランスへ派遣して、和食の基礎を教えるのです。そうすれば、10人、20人、そして50人、60人とシェフが育っていきます。

その体制づくりには、政府のバックアップも欠かせません。私はプロの料理人向けの学校を経営していますから、そこで受け入れることもできます。日本は今、日本産品を輸出しようとしていますが、そのためには食材をきちんと使える料理人をまず育てないといけません。

日本料理人が増えれば、もっと多くのフランス人が和食に興味を示すようになるでしょう。実は、懐石のような高級和食を、フランス人はまだ理解できていません。価値が見いだせない料理に、わざわざお金を払いません。

いったい何が違うのか、料理の意味を説明する必要があります。そのストーリーを知る過程、それこそが文化交流です。お互いを理解する日が、いずれ来ると思います。

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