「日経レストランONLINE」は、「日経レストラン」の休刊に伴い、3月末日をもって更新を休止することになりました。長らくご支援を賜りました皆様に厚く御礼を申し上げます。

韓国レストラン展望

韓国各地の名産食材をふんだんに取り入れた高級焼肉店

「慶福宮(キョンボックウ)」

2012年1月18日

外食業界で注目が高まる一方の韓国料理。最近では、専門店以外でも韓国料理をメニューに取り入れる店が急増している。今回から始まる新連載「韓国レストラン展望」では、いま韓国で人気を集める店を幅広く紹介する。一回目はビジネスパーソンを中心に人気の高い焼肉店「慶福宮(キョンボックウ)」を紹介する。

1996年、仁川松島から「慶福宮」は始まった。現在韓国全土に19店舗を持ち、同店の経営はENTASグループが経営する。仁川の工業団地近くに出店した同店は、工業団地に工場を持つ企業の外国人接待向けのレストランとして成功した。現在ではソウルに7店舗、韓国全土に19店舗に広がっている。夜はコースを中心に、価格はアメリカ産牛で4万1000ウォン(3280円)と4万5000ウォン(3600円)、韓国牛が6万2000ウォン(4960円)と7万5000ウォン(6000円)をそろえる。韓国牛は日本和牛にも劣らないやわらかさとうまみを持つ。手軽に楽しむならアメリカ産を選べばいいが、アメリカ産でもランクが良いものを提供しており、やわらかい。

コース料理

コース料理:このほかに焼肉を包む食材や、食後には冷麺やテンジャンチゲが提供される

コースは冷前菜から始まり、刺身、焼肉、最後には冷麺かテンジャンチゲが選べる。韓国でも焼肉店で「刺身」を提供しているのは珍しく、お客には好評だという。前菜は季節ごとに特徴のある食材を選ぶ。料理にかかるソースは韓国らしく、コチュジャンを使用したものが多いため少しピリ辛。刺身もコチュジャンソースでいただくのが韓国式だ。

夜のコースの刺身

夜のコースには刺身が含まれる。刺身も分厚く、味も良い。

また、韓国各地から取り寄せた特産品も同店の特徴。鬱陵(ウルルン)島のミョンイナムル(ミョンイは行者にんにくの葉。このナムルを提供する店は多くない)、麗水の特産キムチ、新安の塩などを提供している。

夜は基本的にビジネス客が多く、観光客にはあまり知られていない。観光旅行でも寄ってみる価値はある。日本の高級焼肉店に負けない味と質を持つため、日本に比べ格安で高級感を満喫できる。

ランチタイムは11:30から14:00までで、7000ウォン(560円)から。街中では5000ウォン(400円)から8000ウォン(640円)がランチの相場で、コーヒーも一杯4000(320円)ウォン前後。高級店でこの価格は魅力だ。手軽に食事ができため、近くのサラリーマンなどで12時には満席になる。旅行客や一人客はほとんどいない。

ランチのメセンイカルビタン

ランチのメセンイカルビタン。メセンイとは海藻でカプサアオノリ。口当たりはトロロコンブのようで食べなれたカルビタンが海の風味を帯びる。他店ではないメニュー。1万ウォン(800円)。

なお、「慶福宮」は日本進出を計画しており、そのためのマーケティングを開始している。その動向を注視したい韓国レストランの一つだ。

さて、韓国の人気レストランの視察を考えていらっしゃる飲食店経営者に、ぜひお薦めしたいスマートフォン用アプリがある。初めて訪韓した人でも、手軽にソウルの街を楽しめるようソウル市が提供する無料アプリ「i Tour Seoul」だ。利用者の現在地をもとに周辺の観光スポットやレストラン、宿泊施設などの情報を案内する。目的地までのルート案内もしてくれる。レストラン情報がとても充実しており、心強い旅の友になるはずだ。「i Tour Seoul」の詳しい内容はここで。

店舗データ

本店:仁川市延寿区玉蓮洞572 TEL032-831-7776。ソウル芳荑(バンイ)店:ソウル市松坡区芳荑洞35、02-418-7767●営業時間/午前11:30~午後10:00●客単価/昼1万ウォン、夜6万ウォン。●月の利用客数8000人~9000人(本店、芳荑店ともに)●月商92億ウォン(ENTASグループ全45店合計)●経営/ENTAS

文:石田のり子(Granage LLP)
日本、韓国、中国を拠点にビジネスマッチング、コンサルティング、新規事業開発サポートを行う。http://www.granage.com/