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韓国レストラン展望

日本で話題の「リアルブラウニー」を生んだカフェ併設レストラン

Market O Restaurant

2012年4月18日

日本で「Market O」といえば、大ブレークした韓国のお菓子「リアルブラウニー」のブランドを思い浮かべる人が多いだろう。だが、それだけではない。韓国で「Market O」といえば、厳選した食材を提供することで知られた人気レストランでもある。

「Market O Restaurant」は韓国大手菓子メーカー「オリオン製菓」が2003年にオープンしたオーガニック・レストラン。菓子メーカーが話題作りのために始めたコンセプト店などではなく、オリオン製菓の外食事業部がビジネスとして展開する本格派レストランだ。現在3店舗を展開している。

その一つである狎鴎亭(アックジョン)店は、2階にレストラン、1階にはカフェの「cafe BROWNIE」があり、カフェで提供されていたデザートメニューで人気に火がついたのがブラウニーである。韓国のスーパーや日本で販売されているのは、それをパッケージ化したものである。

狎鴎亭(アックジョン)店2階レストラン

狎鴎亭(アックジョン)店2階レストラン

同レストランでは「おいしく、健康」をコンセプトとして掲げるとともに、「味」「ビジュアル」「ライフスタイル」の提案に力を入れている。「味」については、こだわりのオーガニック食材を中心にメニューを組み、「ビジュアル」はおいしさとともに見た目も重視する。「ライフスタイル」については外食文化の紹介などを積極的に仕掛けている。今年のテーマは「感性・本物・格(グレード)」である。メニューには韓国、アジアン、イタリアンの創作料理をはじめ、和風の料理も揃う。

提供する食材には有機野菜をふんだんに使ったり、味噌汁には日本の味噌を使用したりするなど、良い食材であれば、日本からも取り寄せる。主に国産オーガニック食材を利用しているため、昨年の天候不順により野菜の調達には苦労したという。

もう一つの特徴として、「Market O」のレストランで使用される料理の多くに「竹長然(죽장연:ジュクジャンヨン)味噌」が入っていることが挙げられる。これは浦項市(韓国の東海岸の港湾都市)から取り寄せる韓国の伝統的味噌。いわゆる納豆味噌で、納豆を乾燥熟成させて作る。

「竹長然(죽장연:ジュクジャンヨン)味噌」の製造過程の一部。写真:Market O提供

「竹長然(죽장연:ジュクジャンヨン)味噌」の製造過程の一部。写真:Market O提供

竹長然味噌をソースに使った料理の一つにプルコギピビンパ(16,000ウォン)がある。ピビンパにしては少し高い値段(普通は5,000ウォンもあれば食べられる)に思えるが、一口味わってみれば納得する。ピビンパに混ぜるソースは自分で調整できるため、辛いものが苦手な人も楽しめる。セットで出てくる味噌汁に使われている味噌を日本から取り寄せるなど、その料理に最適と思われる食材を国境を越えて取り寄せている。

プルコギピビンパのソースには竹長然味噌が使われている。

プルコギピビンパのソースには竹長然味噌が使われている。

そのほかの人気メニューとしては、濃厚なゴマのソースがやわらかい牛肉のうまさを引き立てる「マーケット・オー ビーフ」(27,800ウォン)や、オリジナルの豆ソースが癖になる「マーケット・オー サラダ(1~2人分、15,000ウォン)などがある。このように、ほとんどの料理に、それぞれオリジナルソースを用意しているのが同店の特徴の一つで、ソースに使っている食材が何かを想像するのも楽しい。

マーケット・オー サラダには、その季節の最もおいしい食材を使う。サラダにかける秘伝のソースが癖になる。

マーケット・オー サラダには、その季節の最もおいしい食材を使う。サラダにかける秘伝のソースが癖になる。

1階の「cafe BROWNIE」では、毎朝シェフがブラウニーを手作りしている。このブラウニーはかなり濃厚だ。市販されているブラウニーは工場で生産されるため、韓国各地のスーパーや日本でも手に入るが、レストラン限定ブラウニーはここでしか購入できない。手作りのため数を作ることができず、日によっては早々に売り切れることもある。旅行の際にはぜひプレミアム感たっぷりな手作りブラウニーを手に入れたい。

店舗だけで楽しめるシェフお手製「リアルブラウニー」小さくてもかなり濃厚で大満足

店舗だけで楽しめるシェフお手製「リアルブラウニー」小さくてもかなり濃厚で大満足

現在、同レストランはアックジョン店、トゴク店、オリンピック店の3つがある。各店とも客層が異なり、アックジョン店は主にセレブ、若者、恋人が中心客層だ。特に「MISSY族(30代から40代の既婚女性で、未だ独身かのようなファッションや友達との時間を楽しむ女性たちを指す)」が集まり食事をしている。トゴク店は30代から40代の女性、オリンピック店は家族連れが多いという。

アックジョン店では毎月1万人以上の来店があり、目標売上の120%を達成しているという。最近では「Market O リアルブラウニー」の購入や同店を訪れる韓国人タレントとの偶然の出会いを求める日本人観光客が急増しており、来店者の約20%を占めるという。そのため、日本語メニューも用意している。

店舗データ

狎鴎亭店:ソウル市江南区論峴洞91-6  916ビル TEL02-515-0105●営業時間/11:00~23:00●客単価/昼2万ウォン、夜4万ウォン

文:石田のり子(Granage LLP)
日本、韓国、中国を拠点にビジネスマッチング、コンサルティング、新規事業開発サポートを行う。http://www.granage.com/

取材協力:I tour SEOUL(ソウル市)Webサイトはこちら