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韓国レストラン展望

1980~90年代の香りがする、遊び心満載の韓国居酒屋

「大人の思春期」

2012年10月17日

ソウル市内の高級住宅地である清潭洞(チョンダンドン)の外れにひっそりとたたずむ韓国居酒屋「大人の思春期」。男性オーナーが一人で切り盛りしている。

30代後半から50代の人が店内に足を踏み入れると、懐かしさを感じるのは間違いない。カセットテープなどを使った内装、そして流れる音楽は、1980~90年代を意識させるものばかり。オーナー自身、30代半ばで自分の青春時代の思い出をお店に反映させている。このあたりの世代が、ここを行き付けにしているもうなずける話だ。

「大人の思春期」

カセットテープをはじめ、1980年代らしい小物が店内に飾られている

料理も「懐かしく、馴染みやすい」と評判になっている。その理由は、シンプルな味付けにある。一番のお勧めはカムジャジョン(1万8000ウォン)。これはジャガイモをすって焼いたもの。「それだけ?」と思いがちだが、カムジャジョンはシンプルなだけにすり方やつなぎ、つけダレといった調理によって、店の特徴が出やすい。この店の一品はもちもちとした食感を楽しめ、イタリア料理のニョッキを連想させる。

「大人の思春期」

カムジャジョンはジャガイモを使ったシンプルな料理で、多くのお客が注文する

また、新安郡の塩製造所で韓国の伝統方式で作られている「韓国新安天日塩(Salt Danji)」という塩を使っており、料理の味を引き立たせている。

「大人の思春期」

韓国の伝統方式で製造する「韓国新安天日塩(Salt Danji)」

他には、帆立貝の塩辛めし(4000ウォン)、凍結乾燥させて干した明太(ミョンテ、すけとうだら)の中で上質なものを使った「焼黄太」(1万2000ウォン)など、焼き魚や魚介類のメニューが中心だ。これはオーナーが自分の思い出を店の作りに反映させたのと同じように、好きな食材を集めた結果、このようなメニューになったという。

マッコリも品ぞろえが豊富だ。各地から取り寄せたものに加え、店独自で味付けしたフレーバーマッコリ(各3000ウォン~)もある。フレーバーはゆず、くり、五味茶味、山ぶどうなど。少量から注文できるので、いろいろな種類が楽しめる。

「大人の思春期」

マッコリもフレーバーがいろいろある(左からゆず、くり、五味茶味、山ぶどう)。お勧めは、ゆずマッコリだ

店は18席とこじんまりしており、週末には予約しなければ席の確保が難しいという人気ぶりだ。もともとメーンの客層だった30代後半から50代の男性客に加えて、最近では女性客による口コミをきっかけに女性の団体客が訪れるようになったためだ。

清潭洞の界隈は、高級店が多い。そんな中で、気負いがない接客の店がぽつんと存在しているところに、人が惹きつけられている。友達の家に遊びに来た気分で食事を楽しみたい1軒と言える。

「大人の思春期」
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店舗データ

ソウル市江南区清潭洞57-3 TEL:02-545-4809 ●営業時間/18:00~26:00、 日休●客単価/1万2000ウォン

文:石田のり子(Granage LLP)
日本、韓国、中国を拠点にビジネスマッチング、コンサルティング、新規事業開発サポートを行う。
連絡先:http://www.granage.com/

取材協力:I tour SEOUL(ソウル市)Webサイトはこちら