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決断のとき・大庄 社長 平 辰 編

2008年8月19日

大庄 社長
平 辰(たいら たつ)

1940年佐渡市生まれ。大学中退後、日立製作所に入社。2年後に退職し、滅菌割り箸製造販売会社経営、洋食店店長などを経て、68年に焼き鳥店「とき」オープン。73年「庄や」、82年「やるき茶屋」を開店。独立支援制度を確立し、飛躍的に店舗数を増やす。89年に大庄を設立。2008年4月末現在、大庄グループは北海道、沖縄を除く国内に約40業態、930店舗

文=芦部 洋子
写真=山田 愼二

「怖くて怖くて」出店投げ出す
ようやく出した店は閑古鳥
「1日の売り上げ3000円だった」

「店の内装工事がドンドン進む。それを見ていると、もう、怖くて怖くて、たまらなくなってきてね……」。現在、930店舗を展開する大庄グループの総帥、平辰は、40年前に初めて自分の店を持とうとしたときの心細さを思い返していた。1967年、28歳の平は東京・赤坂、アメリカ大使館前の一等地に、和食店を開く予定だった。

「足りない資金の金策の目途が立たないんです。しかも私自身は板前経験がなく、売上予測も立てられない。家賃は月20万円──。不安で眠れない日が続いて、夢遊病者のようになってフラフラし、気がつくと不動産屋の前に立ってた」。話を聞いた不動産店は、驚きながらも相談に乗ってくれ、買い手の希望通りに内装を仕上げるというオプションを付けて店の権利を売り出してくれた。「これが680万円で売れた。支払いを済ませても280万円儲かっちゃった。これを元手に、今度は6坪の土地付きの物件を買ったんです」。

60年に大学を中退し、いくつかの職を経た後のことだった。

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