決断のとき・叙々苑社長 新井泰道 編
叙々苑 社長
新井 泰道(あらい たいどう)
1942年神奈川県生まれ。中学卒業後、叔母の勧めで東京・新宿の焼き肉店に入店。さらに東京・神田の焼き肉店に13年勤めた後、72年、東京・神楽坂で開業。76年「JOJOEN六本木店」を開業し、従来の焼き肉店の常識を覆すメニューやサービスを提供。84年には株式会社叙々苑設立。首都圏を中心に店舗展開し、2008年2月現在、45店舗(「叙々苑」36店、「游玄亭」6店、デリカ店3店)。全国焼肉協会会長も務める
文=芦部 洋子
写真=山田 愼二
バブル崩壊後、不況の中で出店に次ぐ出店
今しか、好立地で展開するチャンスはない!
100億円の借金も怖くなかった
「うちの借金は、100億円ですよ! 今のままじゃあ、1億ずつ返したって、100年かかるんです! 早く返済したいから、新しい店を出して売り上げを上げたいんだ!」。叙々苑社長、新井泰道は拳を握りしめ、銀行の応接室のテーブルを叩いた。「不況の今だからこそ、いい物件が嘘みたいな値段で手に入るんじゃないですか。お願いします。融資を検討してください」。
懇願する新井に、融資担当者は先刻から同じ返事を繰り返していた。「社長、今はじっとしていたほうがいい。こんな状況で出店するのは無謀です。これ以上お貸しすることはできません」。
時は1993年、91年のバブル崩壊の後、融資を渋る担当者を相手に、新井はさらに語気を荒げた。「金のない私らはね、のんびり時期を待ってる余裕はないんだ!」。
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