決断のとき ラ・ロシェル オーナーシェフ 坂井宏行 編
2009年3月31日
ラ・ロシェル オーナーシェフ
坂井宏行(さかい ひろゆき)
1942年父の転勤先の朝鮮半島で生まれ、鹿児島県で育つ。高校中退し、大阪の仕出し弁当店やホテルで働きつつ辻調理師専門学校に通う。オーストラリアのホテル、東京・銀座「四季」などを経て「西洋膳所ジョン・カナヤ麻布」のシェフに。80年に独立、東京・青山「ラ・ロシェル」開店。89年渋谷に移転。2008年現在、フランス料理店3店舗経営
文=芦部 洋子
写真=鈴木 愛子
予約ゼロの日が続く
「店が潰れる。何か仕掛けないと」
「せっかくこんなにでっかい城を持ったのに、このままじゃ潰れてしまう!」。坂井宏行は胸の内でうめいた。1991年12月、年末のかき入れ時だというのに、昨日のお客はたった2組。今日も明日も1件の予約も入ってはいない。坂井がオーナーシェフを務める東京・渋谷のフランス料理レストラン「ラ・ロシェル」の230坪80席の店内は静まり返り、スタッフのため息がかすかに聞こえた。
「何か仕掛けないと……」。坂井はギリッと奥歯を噛みしめた。
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