決断のとき・サイゼリヤ社長 正垣泰彦 編

大学在学中に仲間と開業
「お金がなくて店で寝起き。
火事にも遭ったが、そこが原点」

「失敗は先生」と正垣。「失敗するのが楽しい。失敗したとき、俄然やる気が起きる」

大学在学中の正垣は東京・新宿の大衆食堂で皿洗いのアルバイトをしていた。山本はその店の従業員だった。親分肌で面倒見がいい正垣は、若い従業員たちに慕われ、頼りにされていた。「僕がアルバイトを辞めるとき、『一緒に仕事をしたい』って、何人かついて来ちゃったんですよ。それで、みんなで食べ物屋をやろうということになったの。仲間たちの働く場を作ろうと、僕が店を始めたんです」。36席のこの店が、国内で700店超となる「サイゼリヤ」のそもそもの始まりであった。

「僕は計画的に動いているように思われるけど、そのときどきに頼まれて、よし、やるか、と思うだけなんですよ。頭が悪かったからさ、大学出て普通に就職するのが嫌だったの」。業界随一の理論派で知られる正垣は、飲食業に携わったきっかけをこう説明する。

開店からたった7カ月後、店は全焼の憂き目にあう。地元のならず者が店内でケンカし、倒れたストーブの火が燃え広がったのだ。正垣のショックは大きかった。「でも、落ち込んでいてもしょうがない。これからどうすればいいのか、とことん考えました。仲間たちにきちんと給料を払って、生活を安定させてあげたい。そういう商売をしたいと思って、いろいろな本を読んで勉強しました。特に渥美俊一さんのチェーンストア理論の本には触発されました」。災難を学びのチャンスに変えて、正垣は自らのビジネス理論を固めていった。

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