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知っておきたい店情報

地産地消にこだわったイタリアンレストラン

(イタリア料理店、静岡県沼津市)

2006年1月13日

文=水野 孝彦
写真=橋本 浩美

常連客を集めた食事会。平日にもかかわらず県外から駆けつけた熱烈なファンも。数多くの常連客を抱えているのが「マリーノ」の強みだ

幹線道路から外れた住宅地に位置し、自宅の1階で営業を行う目立たないイタリア料理店が、熱烈なファンを集めている。その店の名は、「マリーノ」。右の写真は常連客を招いた食事会。平日の夜にもかかわらず、県外から駆けつけた人もいる。

店は静岡県沼津市にあるが、県内外を問わずマリーノ・ファンが足を運ぶ。平日は近所の主婦のランチ需要がメイン。週末はランチもディナーも常連客の予約が大半を占めている。その1人で、神奈川県に住む会社員、兼頼晶之さん(32才)は、3年前から、自動車で片道2時間をかけて月に1回は夫婦で店に通っているという。

「インターネットの検索でお店を見つけたのですが、素材にこだわった手作り料理が美味しい。毎月新しいメニューを楽しみにしています。スタッフの方も気さくに話しかけてくださるし、いろいろわがままも聞いてくれます」(兼頼さん)。

開店当初は客単価の低さに悩む

基本は手作り。店自慢のフェットチーネも手打ち。人気メニューのためすぐに売り切れてしまう

上:ベーコンやスモークサーモンも自家製
下:自家農園で無農薬のハーブ・野菜を合計20種類以上栽培

「マリーノ」の特徴は、オーナーシェフ、鈴木啓三郎氏のこだわりの料理と、鈴木氏の夫人でホールを担当する理恵氏の家庭的な接客にある。

駿河湾で捕れる新鮮な旬の魚を、魚市場までまめに訪ねて格安の値段で仕入れ、良心的な価格で提供する。牛肉や豚肉は地元産にこだわり、野菜も旬のものを使う。

さらに、40坪の自家菜園で無農薬のハーブや野菜を20種類以上育て、店で利用している。これらの食材に使うソースは、牛骨や牛スジ、ハーブや野菜を10時間以上煮込んだブラウンソースなど、鈴木氏が心を込めて作ったもの。ソースだけでなくピザの生地、燻製、デザートもすべて鈴木氏の手作りだ。

ただ、そうしたこだわりは、開店当初はなかなかお客に伝わらず、経営的にも苦戦を強いられた。その状況を打開するきっかけとなったのが、ホームページを通じての細やかな情報発信だ。

鈴木夫妻が店をオープンしたのは1998年。ローマ郊外のレストランで修行した経験のある鈴木氏は、駿河湾の無人島にある高級リゾートホテル「淡島ホテル」内のレストランの料理長を務めた後の独立だった。

「自分が本当に美味しいと思うものをお客様に出したい」というのが、料理に対する鈴木氏の基本姿勢。しかし開店当初は、その思いはお客にあまり理解されなかった。

フェットチーネと前菜、パン、デザート、ドリンクのセットで価格は2730円

それは、お客のオーダーにもはっきりと表れていた。同店ではランチメニューは990円~3150円、ディナーコースは2100円~7350円まで幅広く用意している。しかし、「ランチの注文は一番安い990円のパスタランチが中心で、その上の価格帯のメニューは、ほんの数百円単価が高いだけでなかなか出なかった。ディナーも2100円のパスタコースがほとんどでした」(理恵氏)。

それが、2001年にホームページ上での情報発信に力を入れるようになってから、客単価は次第に上がっていった。

今では、ランチメニューの売れ筋は1580円のパスタコースや2100円のおすすめランチ。ディナーも週末には5250円、7350円のシェフのおまかせコースが注文の半分を占める。

2000年当時と比べて客単価は昼が1200円から1500円、夜は2000円から3000円に上昇。昼夜合わせて35%以上アップしている。月商も140万円から200万円へ50%近く伸びた。店のコンセプトを理解して来店するお客が増えたためだ。

「こだわっていることを伝えないとお客様はお金を出してくれないと実感した」と理恵氏は話す。

店舗DATA

静岡県沼津市下香貫柿原2806-4
TEL:055-933-1551
1998年5月開業
店舗面積/ 15坪(49.5平方メートル)●席数/ 24席(8テーブル)●営業/ 11:30~14:00(L.O)、17:00~20:30(L.O)、定休日 木曜日●客単価/昼1500円、夜3000円●月商/ 200万円●坪月商/ 13万3000円


※この記事の情報は、2006年1月現在のものです。変更されている可能性がありますのでご注意ください。