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知っておきたい店情報

お客の熱気で店が揺れる!? 昭和の歌謡曲専門バー

「なつかしや」(居酒屋、東京・新橋)

2007年11月19日

文=鈴木 桂水
写真=佐藤 直也

店内の壁を飾るのは、懐かしいドーナツ盤のジャケット。BGMに関しては日本音楽著作権協会(JASRAC)と契約し、利用料を支払っている

「夜のヒットスタジオ」「ザ・ベストテン」など、昭和のテレビを彩った数々の歌番組。テレビをつければスターが流行歌を熱唱する声が流れていた──。東京・新橋の「なつかしや」は、そんな時代にタイムスリップできる、70~80年代の歌謡曲バー。連日盛況で、23坪のこぢんまりとした店構えながら、年商は6000万円を軽く超える。

有線放送は使わず、アップル社の無料ソフトiTunesを使って1万5000曲のコレクションをすべてパソコンで集中管理。ドリンク担当者は音楽のオペレーターもこなし、検索機能を使ってリクエストに細やかに応じる。


「ポピュラーな歌謡曲は万人が楽しめる」とオーナーの網野氏

店が混むのは二次会の時間帯に当たる夜9時過ぎ。連日30代から50代の歌謡曲世代が押しかけ、10時頃には満席に。お客は酔うほどに盛り上がり、「早見優」の「夏色のナンシー」がかかれば「イエ~ス」と叫び、「沢田研二」の「勝手にしやがれ」がかかればお客全員が「あぁ~」と腕を上げ、左右になびかせる。見ず知らずのお客同士が歌謡曲という共通の話題に盛り上がる。そのエネルギーは木造の店舗が揺れるほど。

オーナーの網野俊広氏は、以前、ロックバーを共同経営していた。あるとき常連のリクエストで歌謡曲をかけたところ、ロック以上に盛り上がった。「ロックより歌謡曲の方が世代を超えた共通認識に訴える」と、2003年に独立・開業した。


(左)店は東京・新橋の激戦区にある
(右)ドリンクは700円台が中心。人気メニューは、店主の特製レシピによる「バッファローチキンウィング」(900円、スモールは500円)など

店がある場所は、飲食店の激戦区。網野氏は「競合のない歌謡曲バーだからこの場所で成功できた」と漏らす。料理で勝負する店は品質と価格の競い合いを避けて通れないが、独自性の強い店なら“店の個性磨き”に集中できる。「なつかしや」では、フードやドリンクには手間をかけず、お客がいかに歌謡曲を楽しめるか、という部分に注力する。お客の満足度は高く、リピーターは多いという。


店舗DATA

東京都港区新橋2-15-4
TEL:03-3506-3480
2003年12月開業●店舗面積/23坪(75.9m2)●席数/80席●営業時間/19:30~翌2:00、日祝休●客単価/2500円●1日の来店客数/80人●月商/550万円●原価率/18%●スタッフ数/9人●経営/個人


※この記事の情報は、2007年10月現在のものです。変更されている可能性がありますのでご注意ください。