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知っておきたい店情報

下町の商店街で盛況な魚市場風居酒屋

「赤羽トロ函」(居酒屋、東京・赤羽)

2008年1月4日

文=鈴木 桂水
写真=佐藤 直也

七輪を使った炭焼きは“番屋料理”を思わせる素朴なもの。人気メニューの「鮪のカマ焼き」(599円)、「活けサザエ壺焼き」(699円)など、価格はリーズナブル

まるで漁港近くの魚市場で飲んでいるような気分にさせる居酒屋「赤羽トロ函」が盛況だ。連日19時のオープンから満席になり、1時間とたたないうちに行列ができる。場所は東京の下町、赤羽。日が暮れると閑散としていた商店街に活気を呼び戻したと評判だ。

メニューは、お客が七輪を使って魚介類を焼いて食べる炭火焼きが中心。刺身は日替わりで鮮度の良いものを仕入れて提供している。

内装にはトロ箱や漁網などをあしらい、テーブルやイスはビールや酒のケースを利用。店内には煙が立ちこめ、お世辞にも洒落ているとは言い難い。

しかし、20代の女性客からおじさん族まで、実に楽しそうに飲んでいる。1日130人が来店し、20坪の店内はギュウギュウ詰め。月商1200万円をたたき出すのも、うなずける話だ。

オーナーの鈴木稔氏は、「最近は照明を落とし、個室や間仕切りで区切る店が主流。そしてメニューは無国籍料理とパターン化している。そこで、あえて真逆のコンセプトで店を作った」と話す。


(左)裸電球にトロ箱を使った内装で、雑然とした中に懐かしさがある店内。しかし、女性用トイレにはアメニティグッズを揃えるなど、細かな配慮も行き届く
(右)スタッフの接客も気さくで温かい

成功の秘密は他に2つある。

1つは“ご近所づきあい”。鈴木氏は目玉の魚介類こそ専門店から仕入れているが、野菜は向かいの八百屋から、卵は斜め前の卵屋からと、商店街で手に入るものは高くても地元優先で仕入れる。お客の半数は地元の人というが、その中には商店街の店員からの紹介も多い。

もう1つが接客。同店のスタッフは気さくで、自分の言葉で話す。そして、炭焼きの食べ頃や飲み物のおかわりの気遣いなど、“おせっかい”な気配りを忘れない。カウンターを埋める一人客には、スタッフとの会話を楽しみに来る人も多い。

「赤羽トロ函」には、昨今の昭和ブームにつながる懐かしさと温かさがある。そこに人が集まってくるのだろう。


(左)オーナーの鈴木稔氏<左>と新町昭宣店主<右>
(中)刺身も人気
(右)店頭にずらりと素材が並ぶ様は壮観


店舗DATA

東京都北区赤羽1-17-7
TEL:03-3903-7175
2006年12月開業●店舗面積/20坪●席数/52席●営業時間/19:00~23:00、無休●客単価/3000円●1日の来店客数/130人●月商/1200万円●原価率/32%●スタッフ数/10人●経営/夢小路普及商会


※この記事の情報は、2007年11月現在のものです。変更されている可能性がありますのでご注意ください。