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知っておきたい店情報

オリジナルの「ちりとり鍋」

「御馳走屋 孝市(コウイチ)」(居酒屋、大阪府堺市)

2008年4月7日

文=羽野 羊子
写真=水野 浩志

熊本産の和牛カルビをサッと煮込んで半生で提供する「特選孝市盛」(1200円)。四角い鍋はステンレス製。「鉄板では汁が吹きこぼれるし、煮炊き用の鍋では深すぎる」ことからこの形ができたとか

ちりとりのような四角い鍋に肉や野菜を入れ、ピリ辛タレで煮込むのが「ちりとり鍋」。大阪・生野区の焼き肉店が発祥とされ、鉄板焼きと鍋料理の“ええとこどり”の美味しさが評判になって、関西で浸透。東京などにも広がり始めた。

このちりとり鍋で人気なのが、「御馳走屋 孝市」。11年前のオープン時は普通の居酒屋だった。3年前、九州から質の良い牛肉の仕入れルートを確保した際、この肉を生かせる料理はないかと考えた結果、「以前、食べたちりとり鍋を思い出したんです」と店長の佐野哲史さん。それまでは「焼き肉店のメニューの一つ」という位置付けで、メインに据える店はほとんどなかった。「だからこそ、うちは看板メニューにしよう」と決意したという。

(左)玉ネギとキャベツを重ね、カルビを周囲にあしらう
(右)「ちりとり鍋」以外の一品メニューも豊富。「和牛生レバーカルパッチョ」(780円、奥)、見た目にかわいらしい「トマトスライス」(480円、手前)

味の決め手となるタレは、「辛みを抑えつつ、ボケない味」を目指して工夫した。鳥ガラをベースに、味噌を加えて甘みを出す。ニンニクも加えているが、芽を取っているのでくさみはなし。試行錯誤の末に完成したタレは、辛さ控えめでコクがあり、「子どもでも食べられる」と家族客にも好評を得た。

(上)食べ方の説明をメニューに記載
(下)店内は、掘りごたつ式の座敷とテーブル席

こうしてできたちりとり鍋を看板に据え、店名も「ちりとり鍋バル 孝市」に変えてアピールした。南大阪では珍しかったことや、インターネットで「ちりとり鍋」と検索すると上位に表示されることもあり、売り上げが45%向上。「ちりとり鍋の店」として定着した今は、店名も元に戻して営業している。

オーナーの中埜弘一さんは、11年前に佐野さんと2人でこの店を立ち上げ、今では大阪府内で、イタリアンやラーメン店など業態の違う5店舗を経営している。この「ちりとり鍋居酒屋」も多店舗化するつもりはないという。「そうすると目が行き届かず、雑な部分が出やすいので、ちりとり鍋はこの店だけでやっていきます」(佐野さん)。

店舗DATA

堺市堺区霞ヶ丘町1-2-31
TEL:072-244-3732
1996年6月開業●店舗面積/14坪(46.2m2)●席数/26席●営業時間/17:00~翌2:00、無休●客単価/3000円●1日の来店客数/20~30人●原価率/32%●スタッフ数/4人●経営/トリューメン

※この記事の情報は、2008年2月現在のものです。変更されている可能性がありますのでご注意ください。