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知っておきたい店情報

「青森食材のカリスマ」の店に県外からもリピーター続々

「オステリア・デル・ボルゴ」(イタリア料理店、青森県八戸市)

2008年6月16日

文・写真=鈴木 桂水

青森ブランドのカモ「銀の鴨」の胸肉を使ったロースト。宮中晩餐会などでも用いられるものだ。半干しのジュニパーベリーを使ったソースで仕上げる

地場の食材を最大限に生かした料理で評判なのが、青森県八戸市のイタリア料理店「オステリア・デル・ボルゴ」。

オーナーシェフの滝沢英哲氏は「青森で旬を迎えている食材を最高の状態で食べてもらいたい」と、休みの日は県内を車で周り、生産者と対話し直接仕入れる。現場を熱心に回る滝沢氏には生産者のファンも多く、食材供給の協力を惜しまない。県内を奔走するので、ガソリン代が原価率に響くほど。

JR八戸駅から徒歩10分以上という厳しい立地ながら、前日までの完全予約制にした。メニューはコースのみで、アラカルトは無し。強気の営業に思えるが、「食材を少しも無駄にしたくない」という思いがそうさせた。

滝沢氏は県内で育ち、子供のころから青森食材の素晴らしさに触れていた。一度はスポーツ選手を目指すが、大けがを負い断念。失意の中、かねてから興味のあった食の世界へ飛び込む。北イタリアで3年間の修業中に食材至上主義の考えに触れ、北イタリアの風土と食材が青森のそれと酷似しているのに気づき、帰国後、地元で本格的なイタリア料理店をオープンした。

(左)陸奥湾付近で穫れた食材を一皿にした「帆立と小カブの前菜」。横浜町のなたね油、津軽海峡産の背黒鰯を使った自家製アンチョビがアクセント
(中)サフラン風味のリゾットには露地物のアスパラガスと自家製のサルシッチャ(生ソーセージ)が入る。北イタリアの師匠直伝の料理
(右)お客ごとに手書きのメニューを用意。ランチは1600円と2600円の2コース。ディナーは4500円から。写真は5800円のコースから

開店から1年は苦戦が続いたが、口コミで客数は徐々に増加。ここでしか食べられない食材の競演を楽しんだお客は、ほとんどがリピーター(「ボルガー」と呼ばれる)になり、次のお客を呼ぶ。滝沢氏は、近況をブログにまとめ、ファンの心をつなぐ。今では県外から足を運ぶ客も増えた。

最近では、県産食材の知識を買われて、加工食品のプロデュースも行っている。青森食材のカリスマとしての知名度も上がる一方だが、東京への進出は眼中にない。「食材の鮮度は景色と同じ。産地でしか楽しめない料理があることをもっと知ってほしい」と滝沢氏。小さいながらも青森の食の玄関として“ねっぱる(粘る)”つもりだ。

(左)10席のこぢんまりとした店内
(中)ふんだんに使うハーブ類の1つ、ルッコラの花。地元の大西ハーブ農園から仕入れる
(右)オーナーシェフの滝沢氏は、ブログで情報発信も行う

店舗DATA

青森県八戸市大字尻内町字直田5-7
TEL:0178-27-2210
2004年9月開業●店舗面積/15坪(49.5m2)●席数/10席●営業時間/11:30~14:00(L.O.)、18:00~21:00(L.O.)、日、第1・3月休●客単価/昼2500円、夜6000円●原価率/30%●スタッフ数/2人●経営/個人

※この記事の情報は、2008年5月現在のものです。変更されている可能性がありますのでご注意ください。