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知っておきたい店情報

「席はすべて相席」お客同士の交流誘う異色店

「パクチーハウス東京」(各国料理店、東京・経堂)

2009年5月21日

文=大塚 千春
写真=室川 イサオ、武田 和秀(料理)

今年2月14日に開かれた「見知らぬ他人と囲む鍋」パーティーの模様。初めはぎこちない雰囲気の席もあったが、鍋を作り始めた途端、どの席も一気に盛り上がった。この日は約30人の参加者のうち9人が1人で参加。パーティーは昨年20回開催、今年は36回の開催を予定している。同店の鍋料理は、通常営業時も事前予約制で4人以上からのみの受付。3人で申し込みたいというお客の予約を断ったところ、「すぐにもう1人メンバーを見つけて、申し込んできてくれた」(佐谷氏)ことも。ちなみに、鍋はラグマンという中国新疆ウイグルの麺料理をアレンジした内容

「席はすべて相席」という、風変わりなコンセプトを掲げる店がある。東京・経堂の「パクチーハウス東京」だ。オーナーの佐谷恭氏は世界中を旅し、食堂で相席になったり、同宿となったりするなどで見知らぬ人と知り合う楽しさを体験した。そこで2007年に店をオープンした際、来店客がほかのお客と知り合える仕組みを考案。その一つが相席だった。

例えばカップルで同店に訪れても、2人席が埋まっていれば4人席か大テーブルに相席で座ることになる(写真B参照)。それも、大テーブルでも必ず対面で座ってもらうよう、お客を案内するという。このテーブル、実は奥行きが1mと、同80cm前後の一般的な4人席に比べかなり対面席との距離があり、隣席の方が近い。「その結果、隣の席の料理がよく見え、『この料理は何ですか?』などと会話が弾みやすく、オーダーにもつながる」と佐谷氏は言う。

また同店は、開店記念日、新年など、ちょっとしたきっかけがあるごとに、参加予約制のパーティーを開催している。パーティーの目的もお客の交流だ。中でも面白いのが、「見知らぬ他人と囲む鍋」という企画内容のパーティー。「鍋は大人数で食べなければ美味しくない」と考える佐谷氏だが、パーティー形式なら1人で店に来ても、大勢でつつく鍋を楽しめるだろうというわけ。「以前より気になっていた店で、1人で参加できるので申し込んだ」(30代女性)という鍋パーティー参加者も。

(左)手前が、奥行き1mの大テーブル。2人席は2卓のみ。店内では、客席後ろの壁面などを使い、写真展をはじめとする展覧会も随時開催。展覧会のオープニングパーティーも、お客の交流の場となっている
(中)パーティーでは、参加者に色紙に寄せ書きを書いてもらっている。枚数がたまってきたので、店頭に張り出す予定とのこと
(右)メニューはすべてパクチーを使ったエスニックテイストの料理。手前は、パクチーに炒めたラム肉をのせた人気の「ヤンパク」(935円)とパクチーのソースを使った「パクソースのパスタ」(奥、1144円)

ちなみに、同パーティーにグループで参加した場合は、各人離れた席に案内され他人と鍋を囲むことになる。鍋の場合、目の前で料理を完成させていくことになるため、知らない者同士でも場が盛り上がりやすい。こうした仕掛けの結果、「同じ鍋をつついた人が意気投合し、別の日に一緒に店に食べに来たこともある」(佐谷氏)そうだ。

店舗DATA

東京都世田谷区経堂1-25-18 2F
TEL:03-6310-0355
店舗面積/26.6坪(87.8m2)●席数/32席●営業時間/13:30~17:00、18:00~23:00(L.O.22:00)、月曜休●客単価/4000円●月商/350万円●スタッフ数/10人●経営/旅と平和

※この記事の情報は、2009年2月現在のものです。変更されている可能性がありますのでご注意ください。