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知っておきたい店情報

地元客つかむ王道メニューと客層広げる「変わりそば」

「黒森庵」(そば店、東京・永福町)

2009年6月4日

文=大塚 千春
写真=小川 玲子

「あつあつきのこの白もり」(手前、1450円)と「イタリアの赤もり」(奥、1350円)。「白もり」のつけ汁はホワイトソースベースで、キノコとパンチェッタが入る。薬味は、万能ネギと柚子コショウ。「赤もり」のつけ汁はトマトソースベースで、南部赤鶏、パンチェッタが入る。いずれももりそばとしても楽しめるよう通常のもり汁が付く。「白もり」は昨年秋に登場した冬季限定メニューだが、継続を望むお客の声が多かったことから定番メニューに。今年の夏にも、新たな洋風そばメニューが加わる予定だ

東京・永福町の閑静な住宅街に、多いときは20人もの人が並ぶそば店「黒森庵」がある。メニューを見ると、「もりそば」「新香」という正統派の品書きの横には「イタリアの赤もり」「じゃがとひじきのアルデンテ」といったそば店らしからぬメニュー。人気メニュー「赤もり」は、そばをトマトベースのつけ汁につけて食べる一品。薬味も赤コショウ、青ジソに、パルミジャーノチーズとユニークだ。

一見、「変わりそば店」をコンセプトにした店のようだが、2006年末の開店当初、同店のそばメニューはもりそばのみ。変わりそばのアイデアは既にあったが、まずは近所の住人にリピートしたくなる「そばが美味しい店」として認知してもらうことが大切だと、店主の加東良卓さんが考えたからだ。

黒森庵のそばは、ひきたて、打ちたてをモットーに、製粉から始める手打ちそばだが、「気軽に食べに来られるよう、値段も800円と抑えた」(加東さん)。

パルミジャーノチーズをからめて食べる一品を追加し、そばメニューに異国の香りが加わったのは、開業から約1年後。評判が定着してからのことだ。

(左)つまみも充実。「洋の三品盛り」(左、800円)と「焼き味噌 ケージャン風味」(奥、550円)。「三品盛り」は、左から「にんじんサラダ・マスタード風味」「パルマ産生ハム」、パルミジャーノをからめたニンニク風味の「じゃがとひじきのアルデンテ」。それぞれ一皿料理としての提供の場合は350~470円。店では10数種の日本酒を揃えており、1度に何種かのお酒を楽しめるようにと、1杯100ccで提供。値段は330円から。メニューの端から何種類かをオーダーし、「次回はここから」と再訪を楽しみにするお客もいる
(中)同店は、最後に2種のそば湯を出す。1つはそば粉を混ぜてとろりとさせたもの(写真)。つけ汁に注ぐと、ポタージュのように
(右)モダンな外観

加東さんのイタリア在住経験を生かした「赤もり」が08年1月にメニューに登場してからは、地元の年配のお客が多かった客層も、大きく広がってきた。「最近では、女性やカップルのお客様もよく見かける」(加東さん)。時には7割が新規客ということもあり、開店当初に比べ客数は約2倍に増えているという。

(右)席間はゆったりしている

お客を見ていると、若いカップルが、「さすが人気店」とひときわ感じ入った声を上げた。店を手伝う娘さんが、「冷めてしまったでしょう?」と、つまみを食べながらゆっくりしていたお客に温かい替えのそば湯を持ってきたときのことだ。こうした心遣いも、同店の魅力になっていると言えそうだ。

店舗DATA

東京都杉並区和泉3-17-6
TEL:03-3327-4496
2006年12月開業●店舗面積/12.4坪(40.92m2)●席数/14席●営業時間/11:30~15:00(店舗到着時間)、金土祝休●客単価/1500~2000円●1日の来客数/多いときで4回転●スタッフ数/4人

※この記事の情報は、2009年3月現在のものです。変更されている可能性がありますのでご注意ください。